ポートフォリオとは?意味や作り方をわかりやすく解説|投資や金融における組み合わせ例のおすすめも紹介

 

 

投資を始める際に、株式や債券など様々な金融商品があり、これらを組み合わせることで堅実性や利益性に考慮した資産運用が行えます。このように金融商品の割合をどのように組み合わせていくかを定めたものが「ポートフォリオ」です。

 

本記事ではポートフォリオとは何かを中心に、作り方や実例などを詳しくご紹介していきます。

ポートフォリオとは何か

資産運用に初めてチャレンジする方にとって、ポートフォリオはよく聞く言葉かもしれません。しかし、ポートフォリオにどんな意味があるのか、まだ分かっていない方も多いでしょう。ここからはポートフォリオとは何かをご紹介します。

そもそもなぜポートフォリオと呼ぶのか

ポートフォリオには「紙ばさみ」という意味合いがあります。以前は株式などの有価証券は紙ばさみに挟んで保管がされていました。この慣習から紙ばさみに挟まれている有価証券の中身を知る意味合いから、ポートフォリオと呼ばれるようになりました。

 

もちろん今は紙ばさみに挟んで保管するケースはほとんどありませんが、その名残がデジタル全盛の今になっても用いられているというわけです。

ポートフォリオでその人の方針がわかる

ポートフォリオを見るだけで、その人がどのような狙いで資産運用を行っているのかがわかります。例えば債券を多めに設定していれば堅実な資産運用を検討していることが分かりますし、海外株中心のポートフォリオであれば大幅な利益狙いであることが明らかです。

 

あくまでも大まかに定めているものの、おおよその方針はポートフォリオを見ればわかります。ポートフォリオで最初に決めておかないと、出たとこ勝負で買っていく形となり、適切な資産運用ができなくなることも考えられるでしょう。

ポートフォリオはなぜ必要なのか

資産運用を行うにあたり、ポートフォリオは重要な存在であると言われています。一方で、初心者の方ほどなぜ重要なのかが分かっていないケースがあります。ここからはポートフォリオが必要な理由についてご紹介します。

第三者に相談しやすい

1つ目のポイントは第三者に相談しやすいことです。

 

自分が行う資産運用は正しい方向性か、間違っている方向性か、意外と気が付かないものです。実績だけで判断をしなくてはならないので、たまたま数字が伴わない段階で方針転換を行い、痛い目を見ることも十分にあります。

 

ポートフォリオをファイナンシャルプランナーなどプロに見せることで、「この状況では攻めすぎ」、「目標額の割に守りすぎ」など色々なダメ出しがもらえるほか、割合をどのように変えればいいかも教えてもらえます。

資産運用は分散投資がすべて

2つ目のポイントは、資産運用は分散投資がすべてだからです。

 

資産運用は着実に利回りを出して、毎年資産を増やしていく必要があります。仮に金融商品を1つに絞ったら、非常に高い利回りになることもあれば今までの苦労が水泡に帰するような大ダメージになることもあります。

 

だからこそ、資産運用は分散投資で行うのが鉄則なのです。債券や金のように堅実な金融商品もあれば、石油などの先物取引だと激しい値動きになることもあります。分散投資はバランス感覚が非常に重要なので、ポートフォリオでそのバランスを見ることが求められます。

与えられた資産の中でやりくりが行える

3つ目のポイントは、与えられた資産の中でやりくりが行える点です。

 

安定した資産運用を目指すポートフォリオを組むには、債券をある程度多めにし、金投資なども入れて、残りを株式に回すことになります。仮に今ある元手の30%分を株式に回すとすれば、30%の範囲内で株式を組み合わせていくことになるでしょう。

 

与えられた資産の中でやりくりを行い、資産を増やしていきます。次第に資産の配分が変わっていきますが、最初に設定した配分の割合はできるだけ変えないため、一部を売却したり、買いましたりしてバランスを整えます。これらの作業を繰り返すことで着実に利回りを高めることが可能となります。

ポートフォリオの作り方とは?

ここからは実際にポートフォリオを作る際の作り方について手順を追ってご紹介していきます。

手順1 予算と目標を設定する

最初に行うことは、予算と目標を設定することです。

 

ベースとなる最初の元手、毎月に積み重ねていく金額、最終的な目標金額、そして、目指すべき利回りを事前に決めます。シミュレーションを行うことで自然に目指せる目標なのか、かなり無理をしないといけない目標なのかがわかります。

 

元手を増やす、毎月積み重ねる金額を変えるなど様々な調整を行っていく中で最終的な予算と目標が決まります。

手順2 資産のバランスを設定する

次に行うことは、資産のバランスを設定することです。

 

高い利回りを狙って資産運用を行うのであれば新興国への投資などリスク覚悟で投資を行うのも1つの手です。一方、堅実に着実に増やしたい場合は債券中心、しかも国内の債券を多めにすることで少しずつ資産を増やすことができます。

 

どのような方向性にするかは予算と目標の中でおのずと決まるものです。あとはその方向性に沿うようにポートフォリオを作っていくことでおおよその流れが出来上がります。

手順3 金融商品を選ぶ

ポートフォリオの中身が固まったら、いよいよ金融商品を選びます

 

実は預貯金・財形貯蓄制度なども金融商品であり、より堅実に資産形成を行うのに適しています。その上で国内・海外の債券、投資信託やREIT、不動産、金投資など色々なものを組み合わせていき、ポートフォリオに沿った形で分散投資を行います。

 

最近では仮想通貨・暗号資産も金融商品の中に入るケースがあります。仮想通貨は「億り人」のイメージが強く、少ない元手で一気に増やせるイメージを持つ方が多いですが、今の時代はそこまでのものはありません。

よくあるポートフォリオの事例を確認

ここまでポートフォリオについて解説してきましたが、実際にどのような事例があるのか、目的別に定められたポートフォリオについてご紹介していきます。

手堅く運用したい場合のポートフォリオ

資産運用で最も避けるべきは資産の目減りです。資産の目減りを起こさないためには元本保証の金融資産を購入していれば確実と言えます。元本保証になりやすい金融資産は債券なので、債券を7割から8割程度にしておけば大きな損害は出にくく、手堅さが出るでしょう。

 

では残りの2割から3割をどうするかですが、より手堅さを求めるなら預貯金などでいいでしょう。ただ預貯金では利回りがほぼ期待できないため、多少利回りを求めて株式を買う手も出てきます。こうして債券7割から8割、株式2割から3割という組み合わせのポートフォリオが出来上がります。

多少リスク覚悟でも高めの利回りを狙う場合のポートフォリオ

何事もリスクなしに旨味を得ることはできませんし、あり得ません。利回りを狙うにはリスクは覚悟する必要があります。高めの利回りを狙う場合には、株式の割合を増やすことが大切です。仮に50%を株式とした場合、国内株式すべてにするか、海外と国内で均等に分けるかでも大きく異なります。

 

残りの50%は債券に回すとして、やはり国内の債券だけにするか、海外と国内で均等に分けるかの判断も必要です。年金積立金で運用を行うGPIFのポートフォリオは国内の株式と債券、海外の株式と債券でそれぞれ25%ずつに分けられています。これはリスクを抑えつつ、利回りを得るためで、20年以上の運用で実に127兆円の利益が生み出されている状況です。

とにかく利回り勝負のポートフォリオ

リスク度外視、とにかく利回り勝負というポートフォリオはシンプルなポートフォリオになりやすいです。海外の株式に一本化する手や、新興国の株式もしくは債券でまとめる手もあります。これらは一気に利回りを稼ぐことができる一方、大きな痛手につながりやすいです。

 

特に新興国は金融的な信用があまりないため、国債なども高い利回りになっています。高い利回りであればあるほど信用されていない証拠であり、突如破綻することも想定しなければなりません。要するにギャンブル性の高いポートフォリオと言えるでしょう。

年代別でポートフォリオに変化は?

ポートフォリオの組み合わせは年代によって異なります。実は年齢によって株式への配分割合が変わるからです。年齢が低い人ほど株式比率を高め、高い人ほど株式比率を下げることが理想とされています。

 

株式比率はリスクに直結するため、若いうちはある程度リスクを背負ったポートフォリオを目指し、年齢を重ねていく中でより堅実なポートフォリオを目指すような形になります。最初に決めたポートフォリオを最後まで維持する必要は全くなく、状況に応じたポートフォリオの変化が必要です。

やってはいけないポートフォリオとは

金融のプロが見た際には、「これは危険だ!」と思えてしまうポートフォリオが存在します。

 

その代表例は特定の国だけに絞って投資信託を購入することです。アメリカやオーストラリアなど1つの国の企業でまとめた投資信託などが売り出されています。これらでポートフォリオを組んでいく際、万が一その国で政情不安があれば、その国と心中するように資産を目減りさせることになります。

 

分散投資は金融資産でも大切ですが、投資を行う国に関しても分散させる必要があると言えるでしょう。

最初は専門家に聞くのが一番

どのようにポートフォリオを組んでいけばいいかが分からない方がほとんどです。特に本格的な資産運用を始める中で、損も得も出ていない状況では何がベストかもわかっていません。

 

そんな状況だからこそ、最初のうちは専門家に聞くのが一番です。元手や将来の目標などを聞いた中でおすすめのポートフォリオが示されます。その中で勉強を重ね、得や損を経験する中で自分がやってみたいポートフォリオを重ねていければそれでいいのです。

まとめ

今回はポートフォリオについてご紹介してきました。

 

ポートフォリオは資産運用において非常に重要な役割を示すだけでなく、相手に相談をする際に端的に状況を確認してもらえるツールでもあります。

 

最初のうちは専門家に相談をしながらポートフォリオを作り上げていき、資産運用に慣れたら自分なりのポートフォリオを作り上げていき、より効果的に、納得のいく資産運用を行っていきましょう。