皆さんはスプレッドをご存じですか?スプレッドは投資を行う上で大事な要素であり、決して無視はできないポイントです。だからこそ、スプレッドとは何か、その仕組みなどは把握しておきたいところです。
今回はスプレッドに着目し、スプレッドによるFX取引の影響などをご紹介していきます。
スプレッドとは?
スプレッドはFX取引でよく聞かれるものですが、いったいどういうものなのか、ご紹介していきます。
スプレッドの意味
スプレッド(spread)には広げる、広がりなどの意味があります。これが転じる形で、売る時と買う時の値段の開き、利回りの差などを指す言葉になるほか、このスプレッドがFX会社にとって貴重な収入となるのです。
スプレッドは手数料的な意味合いがあり、スプレッドがかからなければかからないほど、実態に近い形での売買が行えます。空港の両替所のように、スプレッドが異なる両替所がいくつもあります。スプレッドの存在は海外旅行をする人にとってはなじみのあるものと言えるでしょう。
ただ空港の両替所のスプレッドはかなり広いですが、FXにおけるスプレッドは通貨によってはほとんどかからないものばかりです。
スプレッドの仕組み
スプレッドはどのような仕組みで用いられるのか、スプレッドの仕組みについてご紹介していきます。
取引のたびに生じる
スプレッドはFXにおいて用いられることが多く、ドルやユーロなどを取引する際に用いられます。わかりやすく、スプレッドを1銭とした場合、1万通貨の売買を行うと1通貨につき1銭がかかるため、1万通貨の取引で100円がスプレッドとしてかかります。
この数字だけを見れば大して影響はなさそうに思えますが、FXでは常にトレードを繰り返すため、そのたびにスプレッドがかかります。特に通貨の数が多い場合にはスプレッドがかかりやすくなるため、バカになりません。
スプレッドは変動する
基本的にスプレッドは各業者が自由に決められるため、円とドルのトレードでも特定の業者の方が破格に安いということもあります。それぞれの会社は基本的にスプレッドを固定しています。しかし、状況によってはスプレッドを変えることがあるのです。
FXにおいて大きく変動を起こすのは経済指標が発表されるタイミングです。衝撃的な発表が行われる際には一気に売買が進むため、スプレッドで荒稼ぎができるチャンスなのです。中央銀行のトップの発言が影響を与えることもあります。
スプレッドはなぜ存在するのか
スプレッドはFX会社の利益確保のためにあるという見方ができる一方、別の狙いも存在します。ここではスプレッドがなぜ存在するのかについてご紹介します。
FX会社にもリスクがある
FX会社は投資家に成り代わって為替での売買を行います。いわばおつかいを頼まれたようなものであり、スプレッドは「お駄賃」的な意味合いと言えます。しかし、この場合の「おつかい」は当然のことながら簡単なおつかいではありません。
例えば、この値段で買いたいと投資家から指令が来て実際に購入した場合に、すぐに値上がりすることがあります。この場合、投資家側が早速儲けが出た形となり、その儲けを
FX会社が出すような状態になるのです。
利益確保の狙いももちろんありますが、できる限りリスクを避ける、コストを削る狙いがスプレッドにはあります。
安定した取引のために
コストを削るために各業者は「カバー取引」を行います。カバー取引は投資家から受けた注文と同じ通貨数で注文を行うことを指します。例えば、1万通貨の取引を依頼されたらFX会社も1万通貨で注文を行います。
このカバー取引を行うことでFX会社が一方的に損をする展開を避けられるのです。もしもカバー取引を行わなかった場合、投資家に利益が生まれるとFX会社は損失になってしまいます。投資家に利益が出る状況は会社からすれば危機的な状況であり、それを避ける狙いがカバー取引にはあります。
カバー取引は取引が成立しやすくさせる狙いもあります。カバー取引があることで投資家からの注文が決まりやすくなるためです。いずれにしても安定した取引のためにカバー取引があり、スプレッドを小さくするために一定量の注文が入ってからカバー取引を行うケースが目立ちます。
スプレッドで用いられる単位
スプレッドでは主に2つの単位で表示されており、その数字を見てスプレッドがいくらかを判断します。ここではスプレッドで用いられる単位についてご紹介します。
銭
スプレッドでは銭が用いられます。銭は戦前の日本では当たり前のように使われ、今では全く使われず、為替で主に見かける程度という人がほとんどでしょう。銭がスプレッドで用いられるのは日本円の取引を行う場合です。
日本円とドル、日本円とユーロなどで用いられるため、なじみがあってわかりやすいでしょう。1銭は0.01円なので、1万通貨あたり100円となります。10銭のスプレッドがあれば1万通貨で1000円となります。
pips
銭とは別にpipsがあります。pipsは日本円を使用しないケースで使われるもので、1pipsは通貨ペアによって変化します。例えばユーロとアメリカドルの場合には、1pipsで0.0001アメリカドルです。
アメリカドルと日本円の場合にも用いられることがあり、この場合は1pipsで0.01円です。この場合の1pipsは1銭と同じになります。
スプレッドによるFX取引での影響
スプレッドがFX取引において重要なことは間違いありません。では、具体的にどんな影響があるのかをご紹介します。
有名な通貨ペアはスプレッドが少ない
FXを行う際に日本人であれば日本円とアメリカドルや日本円とユーロなど誰もが聞いたことがある通貨同士でやり取りを行います。このため、初心者が手を出す際にはこれらの通貨ペアになりやすいため、スプレッドが小さくなりやすいと言えます。
FX会社はスプレッドが少ないことをアピールして利益が出やすいことを主張します。その際に対象となるものはたくさん取引が行える通貨ペアに限定されており、いわば目玉商品的に扱います。裏を返せば、有名な通貨ペアで激しい競争になる可能性は低く、1銭2銭の違いなどごくごくわずかな差になりやすいと言えるでしょう。
マイナーな通貨はスプレッドが多い
有名な通貨ペアであればスプレッドが少ないことは明らかですが、逆にマイナーな通貨だった場合にはスプレッドが大きくなりやすい、多い状態になると言われています。理由はカバー取引のしにくさが挙げられます。
例えば、有名な通貨ペアであれば多くの人が購入するため、カバー取引もそれだけしやすくなります。しかし、マイナーな通貨はカバー取引をやりにくく、その間に大きな変動が起きる可能性があるため、値動きの安定しにくさなども相まってスプレッドの幅が広くなると言えます。
スプレッドが変わる時期とは
基本的にスプレッドは大きく変わらず、固定されています。しかし、ある時期になるとスプレッドが変わりやすくなるのです。ここではスプレッドが変わる時期についてご紹介します。
取引が少なくなる時間帯
デイトレーダーも多いFXにおいて常に活発な取引が行われていると思いがちですが、実は取引が少なくなる時期が存在します。ニューヨーク市場がオープンしているときに活発に動きやすいため、そうでないタイミングで市場がオープンしていると取引は停滞します。
停滞している時間帯はスプレッドが不安定になり、時に広がってしまいますが、逆に活発な時間帯はスプレッドが安定します。これもカバー取引の影響が大きく、参加者が少ない分、スプレッドに影響が出やすいのです。
日本時間では夕方から10時くらいにかけて若干スプレッドに影響が出やすいため、もしも勝負するのであれば午後10時以降から日付が変わるあたりまで行うのがいいでしょう。
経済指標が発表される前後
取引量が少なくなるのは経済指標が発表される前後です。経済指標は相場を一気に動かすパワーがあるため、場合によっては大打撃を受ける可能性もあります。もちろん逆もありますが、ギャンブルに出る必要はなく、しっかりと経済指標を見てから決めるのも1つの手です。
すると経済指標が出る前は様子見の状態となり、経済指標が出てから買い付けを行うことになります。しかし、みんなで一斉に動くと、なかなか取引が成立せず、重要な経済指標があれば大きく変わってしまいます。激しく値動きが行われるとそれだけスプレッドが起こりやすくなるため、このあたりに注意が必要です。
スプレッドは有名な通貨ペアだけでやるなら気にしなくていい
スプレッドは有名な通貨ペアであればあるほどゼロに近づきます。1銭にも満たないケースが多く、0.5銭や0.2銭というケースもあります。0.2銭であれば1万通貨のやり取りをした場合には20円にしかなりません。1ドル150円だった場合、1万ドルのやり取りで150万円ほどかかりますが、手数料として20円にしかならないので、誤差の範囲と言えます。
一方、特定の時間帯では安くなり、それ以外の時間帯では値段が上がるケースもあります。基本的にはマイナーな通貨ペアで見られます。最初のうちは有名な通貨ペアでトレードを行うのがおすすめです。
まとめ
スプレッドはFXや仮想通貨の取引で用いられるため、できる限り損をしないためにも知っておくべき言葉です。ただドルを購入したいなどメジャーな通貨であればそこまで気にしなくていいでしょう。
逆にスプレッドばかりを意識しすぎて他のサービスをチェックしていないケースがあります。空港の両替所のような価格差は起こりにくいので、スプレッド以外の部分でサービスの確認を行い、理想的なところで選びましょう。