私たちが株式投資、FX投資を行う際、この価格で株が欲しい、ドルを売りたいなどの指示を出します。この指示を受けて、指示通りに行動していくのがトレーダーです。職業としてのトレーダーもいるように、投資においてなくてはならない存在と言えます。
この記事ではトレーダーとはどのような仕事なのか、向いている人の特徴や年収についてまとめました。
トレーダーとは?
トレーダーは私たち投資を行う一般人や投資家と、株などを取り扱うディーラーの中間に立ち、それぞれの売買に介入していく人たちを指します。依頼を受ける形でやり取りを行っていくのがトレーダーです。ここからはトレーダーの意味についてもご紹介します。
トレーダーの意味
トレード(trade)には実に多くの意味があります。職業や商売、商い、業界、売上高、貿易などの意味があり、その中には交換も。これがトレーダー(trader)となると、商人や貿易業者などの意味が出てきます。トレーダーの言葉の意味として、「株のやり取りを行う人」というのは出てきませんが、「取引を行う人」という意味合いで用いられていることが言えそうです。
トレーダーとはどんな仕事か
トレーダーとはいったいどのような仕事なのか、トレーダーの仕事内容をまとめました。
顧客に状況を伝えて営業をかける
トレーダーは顧客からの注文を受ける形で株式などの売買を行います。トレーダーは子どものおつかいのごとく、右から左に注文を受けていくわけではありません。トレーダーは営業マンの要素もあり、「今このタイミングで購入すればチャンス」とか、「このタイミングで打っておいた方がいい」など顧客にとってベストな形になるよう、営業をかけていきます。
こうしたトレーダーのことを別名「セルサイド」と言います。セルサイドは個人投資家だけでなく機関投資家も相手にして売買を行っていきます。一方、バイサイドはファンドを運用する会社などのトレーダーで、ファンドマネージャーという肩書きになります。
トレーダーに向いている人
トレーダーに向いている人はどのような人なのか、その特徴をまとめました。
精神的にタフな人
1つ目の特徴は精神的にタフな人です。トレーダーははっきりと数字に出る仕事であり、言い訳ができない仕事でもあります。突如発生する天変地異など、トレーダーの責任ではない事案も起きますが、そうした事案でも結果を出さなければならないのがトレーダーです。
時に失敗することもあるトレーダーは、失敗にクヨクヨしているようでは務まりません。むしろ反省すべきところは反省しつつ、開き直る時は開き直るぐらいの気持ちでないと大変です。その点では精神的にタフな人であることがトレーダーにとって重要な要素と言えるでしょう。
最新情報に常に鋭く反応する
2つ目の特徴は最新情報に常に鋭く反応することです。株などはちょっとしたニュースや新商品・新サービスの発表で簡単に動いてしまいます。このため、最新情報に敏感でなければトレーダーは務まりません。
日々起きる事件事故に対してもアンテナを立てておかないと対応できないこともあります。また個人投資家との相手をする際にも多くの情報を握っていた方が説得力を増しやすくなるので、その点でも最新情報への反応は非常に重要です。
リスクマネジメントができる人
3つ目の特徴はリスクマネジメントができる人です。投資は自己責任で行うものですが、これはトレーダーにも当てはまることです。投資の世界はちょっとしたことがリスクになってしまう世界です。だからこそ、リスクをしっかりと見切った上で取引を行うことが求められると言えます。
リスクを怖がる人はトレーダーには向いていません。かといって、ギャンブルのように勝負する必要もありません。大事なのはリスクをしっかりと評価し、見定めて株などの売買を行うことです。リスクをリスクとして正しく評価できる人がトレーダーに向いています。
トレーダーの年収について
トレーダーの仕事に就いている人はどれくらいの年収なのか、年収についてご紹介していきます。
インセンティブが破格になることも
トレーダーの場合、一般的な給与形態は固定給+インセンティブのところがほとんどです。頑張れば頑張るだけ年収は増えていく形で、信託報酬や運用利益がインセンティブの原資となります。運用利益に関しては20%、30%と会社によって変わり、3000万円の利益を生み出せば、600万円、900万円と結構な額になります。
これに固定給を加算すれば1年目、2年目からでも年収1000万円以上は夢ではありません。もちろん、実際に運用している金額が小さければインセンティブも起こりにくいですが、額が大きければトレーダーでありながら巨万の富を得る可能性が出てくると言えます。
億万長者になれるチャンスもある
先ほどもご紹介した通り、トレーダーはインセンティブ収入が年収に大きな影響を与えます。運用する額が大きければそれだけ利益額も出やすく、しかも大きな額になるため、年収で1億円を超えるケースも出てきます。サラリーマンが年収1億円とはにわかに信じがたいですが、トレーダーだからこそ想定できることです。
インセンティブだけで月間100万円を稼ぐとして、仮に運用利益の20%をもらえるとすれば、500万円の利益を毎月出せればインセンティブ100万円に到達します。これを1年間続ければ、年収1000万円以上も狙えないことはないのです。
トレーダーは常にクビとの戦い
年収の部分を見ていると、トレーダーはとても華やかに見えますが、実はトレーダーほど厳しい仕事はないと言われています。数字がはっきりと出る仕事なため、一定のノルマを超えないと証券会社から契約を打ち切られる可能性が出てくるのです。
ノルマを3か月クリアできなかっただけでクビになってしまうケースもあります。どれだけ以前に結果を出せていた人でも、少し結果を出せないだけでクビになることは珍しいことではありません。契約期間はいわゆる単年で、プロ野球選手と立ち位置は同じようなものです。
考え方として、トレーダーは助っ人外国人と同じです。結果を出すことが求められ、すぐに結果が出ないとレギュラーとして使えず、最後はファームに塩漬けにされてしまうことも。年収1億円など夢があるのがトレーダーですが、厳しい現実を突きつけられるのもトレーダーの宿命です。
トレーダーはAIに置き換わるのか
近年はAIの登場により、多くの職業がAIに置き換わるのではないかと言われています。トレーダーはAIに置き換わるのか、その可能性を探ります。
AIは疲れないし感情がない
AIのいいところは疲れないし感情がないことです。疲れてしまうと考えが鈍くなり、判断力が落ちます。感情があるともう少し勝負できるなど、売り時や買い時を感情によって間違う可能性も想定できるでしょう。
AIは疲れもなければ感情もありません。ドライに売り時や買い時をAIは判断してくれます。こうしたAIの特性からAIはトレーダー向きと言えるのです。
ChatGPTの出番はない?
近年ChatGPTが登場したことで、AIがトレーダーの仕事をこなせるのではないかと言われてきました。トレーダーの主な仕事は顧客の利益を出すために動くことであり、その際にAIの活用ができると言われてきましたが、実際はまだAI、ChatGPTでは不十分な部分があります。
情報の扱いが最先端とは言い難く、古い情報をつかまされてそれを応用してしまうことです。この情報でレポートを作成しても明らかに情報が古いので使い物になりません。情報が正しければこれほど頼もしい存在はないですが、情報が正しいとは言えないため、躊躇せざるを得ないのが今の状況です。
100分の1に激減したGSのトレーダー
ゴールドマンサックス、通称GSのトレーダーは過去に500名ほどいた中、AIの出現でAIにトレーダーになってもらった結果、現状では3人で回せている状態です。AIにとってほとんどのトレーダーが削減の対象となってしまいました。
ゴールドマンサックスの平均年収は1人で50万ドル、日本円にして6000万円、7000万円もする中、ほとんどのトレーダーが姿を消したとなれば、相当な人件費削減となるでしょう。実際の額は定かではありませんが、300億円レベルの削減につながっています。
トレーダーになるにはどんな資格が必要か
実際にトレーダーになるにはどのような資格があればいいのか、資格の有無などをご紹介していきます。
証券外務員や証券アナリスト
結論から申し上げますと、トレーダーになるために絶対にこの資格ができないというものはありません。ただし証券外務員のように株式などの売買を行い、先物オプションに関する取引では証券外務員の資格が重要です。
証券アナリストも絶対に必要な資格ではありません。ただし、マーケットの第一線にいる人物はトレーダーとして知っておくべき情報、知識を有しており、証券アナリストの資格を得る事で証明できます。そのため、会社によっては証券アナリストの資格取得を求めるケースもあるのです。
まとめ
今回はトレーダーについてご紹介しました。トレーダーは年収1000万円、下手をすれば1億円が狙える夢のような仕事です。しかし、ノルマ達成もまた大変で、しかも、3か月連続でノルマを達成できなければクビになり、どれだけ実績がある人でも1年単位で契約をさせられるなど、厳しい仕事と言えます。
デイトレーダーなど個人でトレーダーを行っている人もいますが、こうしたトレーダーはあくまでも自分のお金を動かしているだけ。職業のトレーダーは多くの人のお金を動かしています。そのプレッシャーは相当なものでしょう。その中で結果を出し続けるのは、スゴ技としか言いようがありません。