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初任給の平均はいくら?大卒や専門卒でどれくらい異なる?学歴や業種による違いについて解説

 

 

学校を卒業して就職した社会人が最初にもらう給料を初任給と言います。初めてもらった給料で家族を旅行に連れていったり、プレゼントをしたりした方もいるのではないでしょうか。そんな初任給ですが、初任給の平均が今までどんな変遷を辿ってきたか、気になる方もいるはずです。

 

本記事では、初任給の平均に着目し、最終学歴や業種、企業規模でみる初任給の平均などを解説していきます。

目次

歴史で振り返る初任給の平均

初任給の平均はどのような変遷を辿ってきたのか、まずは歴史で初任給の平均を振り返ります。

1968年の大卒初任給の平均は3万円

初任給の平均は厚生労働省の賃金構造基本統計調査でチェックできます。賃金構造基本統計調査がスタートしたのは1968年からで、60年程前から調査が行われています。一番最初に調査が行われた1968年の大卒初任給の平均は30,600円でした。今の価値にすると、およそ14万円弱とそれほど多くもらっていなかったことがわかります。

 

その後、高度経済成長や狂乱物価などさまざまな要素が重なり、わずか5年で大卒初任給は倍の6万円となり、1977年には10万円を超えました。しかし、今の貨幣価値に換算すると、初任給の平均自体は3倍以上になりながらも、実際の価値は1割程度増えたのみだったのです。

失われた20年における初任給の平均

バブル経済に突入してからも初任給は一定の増え方を見せてきましたが、バブル経済が崩壊した時期からその伸びは緩やかになってしまいます。特に1995年から1996年にかけて、初任給の平均が減り、1997年になっても1995年の数値を下回る状態にあるなど、就職氷河期世代の初任給の平均は決して恵まれたものではありませんでした

 

一旦20万円をクリアしたのは2003年でしたが、その後再び20万円を割り込むなど、失われた20年における初任給の平均はストレートな右肩上がりとはなっていません。小刻みに上下をしながら、なんとか上がっていくという状況でした。

現在の初任給の平均はいくら?

1968年から行われた厚生労働省の賃金構造基本統計調査は令和元年で一区切りし、翌年からは新たな調査方法で調査が行われています。ここからは50年以上続いた調査形式の最後の年となった令和元年、そして、直近の結果をそれぞれまとめました。

令和元年の大卒初任給の平均

最後に調査が行われた令和元年の大卒初任給は、210,200円と前年より1.7%増えました。21万円台になったのは令和元年が初めてで、最後に調査が行われた5年間は減少することなく、伸び続けています。

 

男女別では男性が212,800円、女性が206,900円と若干の違いがみられました。しかし、前年比では女性が2.1%増えており、男性の伸び率を大きく上回っています。

令和5年の大卒初任給の平均

令和5年における大卒初任給の平均は237,300円と前年と比べて3.9%も増えています。令和元年まではわずかに増える状況が続いた中、令和5年は一気に伸び率が改善されました。性別で見ると男性は240,300円、女性は234,300円と男性は初の24万円台に突入し、男性の伸び率は4.6%と大きく増えました。

 

令和5年は物価高の影響もあり、賃金アップを求める声が高まったこともあって、大企業を中心に初任給のアップに踏み切った企業が多く見られました。結果として、大幅なアップにつながったと考えられます。

最終学歴で見る初任給の平均

ここまでは大学初任給の平均を中心に紹介してきましたが、賃金構造基本統計調査は高卒や専門学校卒の調査も行っています。本項目では、最終学歴で見る初任給の平均をまとめました。

高卒・専門学校卒の初任給の平均

高卒における初任給の平均は、令和5年の調査において186,800円と前年と比べると3%ほど伸びています。男女別では男性が189,000円、女性が183,200円と差がありますが、伸び率はほぼ同じです。

 

大学の初任給との差は、以前だと4万円程度の差となっていましたが、令和5年の調査では5万円以上の差に広がっています。今後高卒と大卒で給与格差が拡大する可能性も十分に考えられると言えるでしょう。

 

次に専門学校における初任給の平均は、令和5年の調査によれば214,500円で、前年と比較するとわずかに増えた程度です。男女別では男性が210,800円、女性が217,000円と学歴別で唯一女性が上回っているのが専門学校卒です。

高専短大・大学院卒の初任給の平均

高卒・短大卒の初任給の平均は令和5年だと214,600円で伸び率は6.1%とかなりの伸びを見せており、学歴別で見れば最も伸びています。男女別では男性が222,800円、女性が211,700円と差がついており、特に男性は前年比9.2%という急成長ぶりです。

 

実は専門学校卒の初任給の平均とほぼ同じ数値ですが、前年の伸び率から推察すると、高専・短大卒が専門学校卒に追いつき、抜かしたような状況にあります。

 

次に大学院卒の初任給の平均ですが、276,000円と前年比3%増です。男性が283,200円、女性が260,800円と男女間で金額的な格差が大きいことがわかります。令和元年の調査では平均が238,900円だったため、わずか数年で初任給の平均が4万円近く増えた計算です。

業種別でみる初任給の平均

次に業種別でみる初任給の平均をまとめました。ちなみに初任給に関する詳細な調査は令和元年で終了しており、令和元年時点のデータとなります。

初任給の平均が高かった3つの産業

大卒初任給の平均でチェックしていくと、令和元年当時最も平均額が大きかったのが「学術研究、専門・技術サービス業」で227,200円でした。その次が「情報通信業」で218,100円、3番目が「建設業」で216,700円です。

 

当時の大卒初任給の平均が210,200円だったため、いずれの産業も平均を大きく上回っています。男女別で比較しても、この3つの産業が上位を占めていました。

全体の初任給の平均より低かった産業

一方、全体の初任給の平均よりも低かった産業もあり、最も低かったのが「宿泊業、飲食サービス業」で200,800円、次が「運輸業、郵便業」で201,500円、以降「サービス業」205,300円が続きました。

 

業種は11に分かれていましたが、平均より低い業種は7つあり、多くの業種ではトータルの平均より低い初任給であることがわかります。

企業規模別でみる初任給の平均

次に企業規模別でみる初任給の平均をご紹介します。こちらも初任給に関する詳細な調査が令和元年で終了しているため、令和元年時点のデータです。

学歴によって差が出やすい

大卒の初任給でチェックすると、大企業は213,100円、中企業が208,600円、小企業が203,900円と大企業が大卒の初任給の平均を引き上げていることがわかります。しかし、伸び率では中小企業の伸び率の方が高く出ています。

 

ちなみに、学歴によってチェックすると、高卒や高専短大卒では企業規模の差がほとんど見られない一方、大学院卒はそれなりに差がついている状況でした。このため、高学歴になればなるほど、企業規模別の初任給の平均に差が出ることが言えます。

男女別と企業規模別でのチェック

男女別のファクターも加えた上で改めてチェックを行うと、意外な事実が見えてきます。大学院卒の男女別において、大企業で比較すると大企業の女性の方が初任給の平均が上でした。大学院卒以外では男性の方が多かったですが、大学院卒に限って別の結果が出てきました。

 

また高卒の男性の場合は大企業よりも小企業の方が初任給を貰いやすいという結果も出ています。細かくチェックしていくと、条件によっては大企業より小企業の方がいい場合もあることが言えるでしょう。

初任給の平均は今後どのように変化していく?

物価高などもあり、初任給を引き上げる動きが大企業だけでなく、中小企業にも見られるようになりました。そのため、初任給の平均は今後上がっていく可能性が極めて高いと言えます。企業によっては初任給が30万円の大台に乗ったところもあり、初年度から1年目の年収400万円台に乗っかるケースも想定できます。

 

その一方、既存の社員の月給は据え置きのケースも珍しくありません。先輩社員が新卒社員より給料がもらえないことになり、強い不満を抱いて辞めてしまうケースが出てきています。

 

過度に初任給を上げることが会社全体のモチベーションや業務効率化などにつながるかは、今後の展開次第となるでしょう。ゆえに、明らかに悪影響が大きかった場合に、同じペースで引き上げ続けることは可能なのかが問われます。

 

失われた20年では初任給の平均が上下し続けてジリジリと増えていくようなグラフを描いていました。どんなグラフが描かれていくか、ここ数年の動き次第となるでしょう。

まとめ

初任給の平均は景気にも左右される部分であり、卒業したタイミングによってはかなりの恩恵を受ける人もいれば、割を食った人もいます。入社1年目の新人の方が2年目3年目の社員よりも給料をもらっている状況が見受けられ、不条理さを感じる方もいるはずです。

 

初任給の平均は今後も上がっていくことが予想され、そこからの人生設計を考えていく必要があるでしょう。また第二新卒の可能性など、初任給の上昇は色々な展開を生み出していくため、初任給の動向に注目し続ける必要があります。

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