「投資信託はなぜおすすめしないといわれている?」
このような疑問にお答えします。
投資信託には少額で始められ、ほったらかし投資ができるなどのメリットがありますが、どのような理由で勧められないのか気になる方も多いでしょう。
本記事では、投資信託がおすすめしないといわれる理由を解説します。
また、購入を避けるべき銘柄や運用する際の注意点も合わせて紹介するため、投資信託の購入を検討している方はぜひご覧ください。
投資信託とは
投資信託とは、ファンドマネージャーやアナリストと呼ばれる専門家が多くの投資家から集めた資金を運用し、運用時の利益を投資家に還元する金融商品です。
投資信託は主に銀行や証券会社などの金融機関が販売しており、銘柄には以下のような種類があります。
- 株式
- 債券
- 不動産(REIT)
- コモディティ(金・原油・穀物など)
また、販売会社から購入した投資信託の値動きのチェックや売買、組み合わせの変更などはすべて運用会社が行ってくれます。
そのため、投資の基礎知識がなくても始められ、ほったらかし投資ができるといったメリットがあります。
ここからは、投資信託がおすすめしないといわれている理由を見ていきましょう。
投資信託がおすすめしない理由4つ
投資信託がおすすめされていないといわれているのは、以下の4つの理由が考えられます。
- 手数料が多い
- 発生するリスクが多い
- 短い期間で収益を出しにくい
- ほったらかし投資で投資の知識が定着しにくい
それぞれの理由を押さえれば同時に投資信託のデメリットなども分かるため、ぜひご覧ください。
手数料が多い
投資信託は多くの手数料がかかる点から、おすすめしないと言われています。
投資信託の手数料や発生するタイミングを、以下の表にまとめました。
投資信託で発生する手数料 | 発生するタイミング |
---|---|
販売手数料 | 購入時 |
信託報酬(運用管理費用) | 保有時 |
信託財産留保額 | 解約時 |
投資信託で複数の手数料がかかると、手数料の支払いで利益が相殺されてしまい、元も子もありません。
そのため、投資信託を購入する際は、重要事項や運用方針などが記された目論見書を確認し、手数料が最も少なくて安いものを選びましょう。
発生するリスクが多い
投資信託は多くのリスクが発生しやすい点でも、一部の投資家から敬遠されています。
投資信託のリスクを、以下の表にまとめました。
リスクの種類 | 詳細 |
---|---|
価格変動リスク | 政治や経済などの外的要因で金融商品の価格が変化しやすい |
信用リスク | 財政難や経営破綻といった理由で、国や企業などの発行体が元本と利息を支払えない |
流動性リスク | 適切なタイミングや希望した価格で取引できない |
金利変動リスク | 金利の変動によって、金融商品の価値も変わりやすい |
為替変動リスク | 為替相場の変動によって、外貨建て金融商品に損益が出る |
カントリーリスク | 投資している国の社会情勢によって、金融商品の価値が変動する |
たとえば、投資信託に株式を組み込んでいると価格変動リスクの、債券の場合は信用リスクやカントリーリスクなどの影響を受けやすくなります。
しかし、投資信託は複数の金融商品を分散して保有したものであり、分散投資によってそれぞれのリスクを抑えることが可能です。
それでもリスクを最小限に下げたい場合は、投資額を少なめにしたり、長期的に積立投資を行ったりしましょう。
短い期間で収益を出しにくい
投資信託は数時間や数日で大きく価格変動はせず、短期間で収益を出すには適していません。
そもそも、投資信託は長期間の運用で利益を出すものであるため、短期間でお金を稼ぐなら株式やFXに集中投資を行いましょう。
ほったらかし投資で投資の知識が定着しにくい
投資信託にはほったらかし投資の一面があり、投資の基礎知識を身につけるには不便です。
投資信託ではポートフォリオの作成や金融商品の値動きの確認、商品売買などをすべて運用会社が行います。
そのため、投資の知識を増やしたい方は、投資信託でプロの力を借りずに自身で金融商品を運用する方が賢明です。
おすすめしない投資信託の種類
投資信託の場合、以下のようなタイプを購入するべきではないともいわれています。
- 手数料が多すぎで高いもの
- 販売会社がすすめてくるもの
- ノーロードではないもの
- アクティブファンド
- ファンドラップ
- 毎月分配型
- テーマ型
- レバレッジ型
どの商品も費用が多くかかり、利益を出すことが難しいなどのデメリットがあります。
それぞれの商品を詳しく紹介するため、投資信託を購入する前に参考にしてください。
手数料が多すぎて高いもの
購入時手数料や信託財産留保額など、手数料が多すぎて高い商品は論外です。
投資信託で利益を出しても、手数料で相殺されて手元にほとんど残らなければ、本末転倒です。
そのため、投資信託を購入する前には目論見書を確認し、なるべく手数料が少なくて低い銘柄を選びましょう。
販売会社がすすめてくるもの
販売会社がすすめる商品は顧客ファーストのものでないことが多いため、購入しない方が賢明です。
販売会社は顧客に投資信託を購入させて利益を出すことを目的としており、手数料が多くて高い商品を提案することがあります。
そもそも、販売会社がすすめてくる金融商品が必ずしも信憑性が高く、稼げるとは限りません。
そのため、「稼げる可能性が高い」などの営業マンのセールストークに釣られ、割に合わない投資信託を購入しないようにしましょう。
ノーロードではないもの
ノーロードではない商品とは購入時手数料がかかるものを指し、余計な手数料を発生させないためにも購入しない方が無難です。
松井証券などの大手証券会社が販売するものはノーロードの商品が多く、一方、対面販売を行っている銀行や証券会社はノーロードではないものが多いため、注意が必要です。
そもそも、購入時に手数料がかかるからといって運用成績がよくなるとは限らず、ただ販売会社の売上になるのみです。
アクティブファンド
アクティブファンドは、信託報酬が高いという面でおすすめしません。
アクティブファンドとは、TOPIXや日経平均株価などの指標(ベンチマーク)を上回る成績を目指す運用方法です。
ファンドマネージャーやアナリストが分析と戦略を立て計画的に運用し、定期的に銘柄を入れ替えて積極的に利益を狙う点では、利益が出やすいともいえるでしょう。
しかし、その分アクティブファンドはハイリスクハイリターンであり、インデックス型と比べて信託報酬が約2倍も高くなることもデメリットです。
ファンドラップ
オーダーメイド型の金融商品であるファンドラップも、購入をおすすめしません。
ファンドラップは顧客の希望に基づいて運用会社が銘柄や運用方法、組み合わせなどを選びます。
しかし、最低投資額は数百万円で、口座管理手数料・投資顧問料・投資一任受任料などの費用が追加でかかります。
そのため、少額投資を行いたい方や費用を節約したい方には向いていないでしょう。
毎月分配型
毎月分配される銘柄も、利益の少なさや税金面から購入しない方が良いでしょう。
毎月分配型には以下の2種類があり、分配金を毎月受け取れるからといって得するわけではありません。
投資信託の分配金の種類 | 特徴 |
---|---|
普通分配金 | 投資信託で得た利益が分配される |
特別分配金 | 利益は発生せずに元本の一部が払い戻される |
普通分配金では利益が出るたびに20.315%の税金が差し引かれるため、利益は8割程度に減少してしまいます。
また、特別分配金は実質元本であり、毎月受け取れても儲かっているわけではありません。
つまり、毎月分配型は投資効率が悪いため、可能な限り分配金がでない投資信託を選ぶのが適しています。
テーマ型
テーマに基づいて銘柄選定や投資を行うテーマ型の銘柄も、購入するのはおすすめしません。
テーマには以下のようなものがあり、IT関係のテーマが多数を占めています。
- AI(人工知能)
- 5G
- DX(デジタル・トランスフォーメーション)
- フィンテック
- カーボンニュートラル
- ゲノム
- サイバーセキュリティ
流行するテーマであれば利益は出やすいですが、一度その業界が廃れると利益が徐々に減少していきます。
そのため、流行り廃りが激しいテーマ型の銘柄は、購入するのを避けた方が無難です。
レバレッジ型
レバレッジ型の銘柄はリスクや費用の面から、おすすめしないといわれています。
レバレッジ型とは、S&P500などの参照指数にレバレッジ倍数をかけた値動きの連動を目指して運用を行う金融商品です。
レバレッジ型は値動きの変動が激しく、変動が頻繁に起こると投資信託の基準価額が下落する傾向にあります。
そのため、長期間保有する際は自身が予想した価格にならない可能性があるため、注意が必要です。
また、インデックス型よりも信託報酬が高い場合が多いことも難点です。
投資信託をおすすめしない方の特徴
以下のような特徴を満たす方には、投資信託はおすすめできません。
- 短期的にお金を稼ぎたい方
- 費用を節約したい方
- 投資を人任せにしたくない方
それぞれの特徴を詳しく解説するため、自身に当てはまっていないか確認してみてください。
短期的にお金を稼ぎたい方
投資信託の値動きは緩やかに変動するため、短期的に収益を出せるわけではありません。
そのため、お金をすぐに稼ぎたい方は、ボラティリティの激しいFXや仮想通貨などに集中投資する方が適しています。
費用を節約したい方
投資信託には以下の費用が発生するため、費用削減にこだわる方には向いていません。
費用 | 詳細 |
---|---|
通常かかる手数料 |
|
ファンドラップのみにかかる手数料 |
|
利益にかかる税金 |
|
なお、NISA口座で投資信託を購入すれば非課税になるとはいえ、どの商品を購入しても手数料は発生します。
そのため、費用を節約したい方は、投資信託ではなく定期預金など手数料が少ない商品を購入しましょう。
投資を人任せにしたくない方
プロに一任せずにどの銘柄に投資したいか自身で決めたい方にも、投資信託は適していません。
基本的に投資信託は投資会社やファンドマネージャーが銘柄やポートフォリオの組み合わせなどを決めます。
好きな金融商品を購入し、好きな組み合わせで運用したい方は、投資信託は選択するべきではありません。
投資信託のメリット
投資信託には以下のようなメリットもあり、初期投資を少なくしたい方やほったらかし投資を行いたい方におすすめです。
- 少額でも始められる
- 運用をプロに任せられる
- 選択肢が豊富
それぞれのメリットを解説するため、投資信託に興味がある方は必見です。
少額でも始められる
投資信託は不特定多数の投資家から集めた小口資金を大口化し、さまざまな金融商品を運用することで収益を出す仕組みであり、数百円程度の少額から始められます。
ただし、初期投資が少ない分リターンも少なくなってしまうため、投資に慣れてきたら徐々に投資額を上げて利益を増やしていきましょう。
運用をプロに任せられる
投資信託では金融商品の選定や情報収集、ポートフォリオの組み合わせなど、ファンドマネージャーが自身の代わりに運用全般を行ってくれます。
そのため、金融知識や投資手法を自身で身につけるのが苦手な投資初心者の方や、投資に時間をかけられない方におすすめです。
選択肢が豊富
投資信託は約5,000種類以上あり、銘柄の組み合わせの幅が広がります。
しかし、種類が多すぎて絞り込むのが困難な場合もあり、その場合は種類そのものが少ないETF(上場投資信託)を運用してみるのも良いでしょう。
投資信託を始める際の注意点
投資信託を始める場合、以下のような点にも注意する必要があります。
- 投資目的と目標額を明確にしておく
- 長期投資を行う
- 少額・分散・積立を意識する
- 費用を確認する
- 余剰資金を使用する
どの点もすべての金融商品に当てはまっており、知っておいて損はありません。
それぞれの注意点を説明するため、投資初心者の方は押さえておきましょう。
投資目的と目標額を明確にしておく
投資信託を始める際は何のために投資するのか、何年後にいくら貯めるのかを具体的に考えることが重要です。
そもそも、投資信託は種類が多すぎるため、どの商品を購入すれば良いか迷うこともあるでしょう。
しかし、投資する目的と目標額を明らかにしておけば商品を絞りやすく、同時に保有期間の目処も立ちます。
長期投資を行う
投資信託の場合、複利効果を活用して長期投資を行うことが最適です。
複利効果とは、運用で得た利益を再投資することで利益が利益を産み、資産が雪だるま式に増えていく効果を指します。
また、投資信託は発生する費用が多いため、短期間で何度も売買するとコストが嵩みますが、長期間の投資であればその心配がありません。
少額・分散・積立を意識する
投資信託初心者の方は、少額・分散・積立の三原則を遵守して投資を行うことを心がけてください。
投資額をいきなり高くすると大損によるダメージが大きいため、最初は少額を投資し、投資に慣れてきたら次第に投資額を上げていきましょう。
また、投資信託には株式や債券など複数の金融商品が含まれており、一口購入するのみでも分散投資になります。
なお、投資信託には積立型の商品もあり、毎月一定額をコツコツ積み立てることで大幅に資産を減らすリスクも下げられます。
手数料を確認する
投資信託を購入する前に、購入時手数料や信託報酬、信託財産留保額などの手数料の詳細を
目論見書で確認しておきましょう。
どの販売会社も手数料の高さはそれぞれ異なり、一律ではないためです。
また、各販売会社の手数料を比較することで、最も手数料が安い会社を選ぶことにもつながります。
余剰資金を使用する
投資信託は余剰資金を使って運用するのが原則であり、決して生活防衛資金や借金を使用してはいけません。
投資信託の種銭が生活防衛資金や借金の場合、大損すると生活レベルが著しく下がってしまう可能性があります。
そのため、余剰資金を貯められるほど余裕がある状態を維持してから、投資信託を始めましょう。
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投資信託がおすすめしないことに関するよくある質問や疑問
投資信託をおすすめしないことに関する質問や疑問を、Q&A形式でお答えしていきます。
投資信託で収益を出してみたい方は、ぜひご覧ください。
投資信託で儲かる人は何割くらいですか?
2020年9月18日の金融庁の発表いわく、投資信託で儲かる人の割合は約3割と少数です。
新型コロナウイルス感染症の影響による市場の変動を受け、2020年3月末時点で、運用損益がプラスとなっている顧客の割合(金融事業者218社の単純平均)は約3割と、19年3月末時点と比較しておよそ半分程度に減少。マイナスとなっている約7割の顧客のうち、約8割が-30%以上0%未満の運用損益となっている(図9)。
参照:https://www.fsa.go.jp/news/r2/kokyakuhoni/202009/2009_kpi_kohyo.pdf
反対に約7割の投資家は損しているため、具体的な戦略や運用方法を考えて実践しないと、投資信託では収益を出せないことが分かります。
投資信託はなぜ儲からないのですか?
投資信託で儲からないのは、以下の理由が考えられます。
- 価格変動が緩やか
- 発生する費用が多い
- 20.315%の税金がかかる
株やFX、仮想通貨などと比べて投資信託の価格変動は小さいため、長期的に運用しないと収益は出せません。
また、購入時手数料や信託報酬といった手数料が多く、分配金や譲渡益には20.315%の税金がかかります。
つまり、収益性の低さや費用面の観点から、投資信託は儲からないといわれています。
投資信託をおすすめできない人は?
以下のような特徴に当てはまる方には、投資信託の購入はおすすめしません。
- 短期的にお金を稼ぎたい方
- 費用を節約したい方
- 投資を人任せにしたくない方
投資信託の基準価額は1日単位で変動し、株式のように秒や分単位で変動するものではありません。
また、投資信託では発生手数料が多い点や、金融商品の選定やポートフォリオの組み合わせなどをすべてファンドマネージャーが行う点も特徴です。
つまり、投資信託では短期間で収益を出したり、費用を節約したりすることは難しいでしょう。
手数料が多い点や短期間で稼ぐのが難しい点などから投資信託はおすすめしない
本記事では、投資信託がおすすめしない理由を解説しました。
購入時手数料や信託財産留保額などの手数料が多くかかる点や、短い期間で収益を出すのが比較的難しい点などから、投資信託はおすすめしないといわれています。
しかし、投資信託は少額から始められ、ファンドマネージャーと呼ばれる専門家に運用を任せられるといったメリットがあります。
そのため、投資初心者の方や投資する時間を割けない方に、投資信託はおすすめです。
ただし、投資信託を始める際は投資する目的や目標額などを明確化し、少額・分散・積立の三原則を意識して投資を行いましょう。
この記事を読んで投資自体や投資信託を始めるきっかけになれば、幸いです。
なお、費用の安さや収益性の高さを重視する方は、融資型クラウドファンディングのサービスであるLENDEXの利用もおすすめです。