投資や資産運用では、「単利」と「複利」という利息の計算方法が頻繁に使われます。それぞれ異なる利息の付き方をし、資産の増え方に大きく影響します。
本記事では単利と複利の定義や計算式から、両者の違い、メリット・デメリット、さらに資産運用での活用方法まで詳しく紹介します。単利と複利の違いを正しく理解し、賢く活用して資産を効率的に増やしましょう。
単利・複利とは?
単利とは?
元本に対してのみ利息がつく計算方法のことです。利息は常に最初の元本に対して計算され、増えた利息にはさらに利息がつきません。
例えば、100万円を年利5%の単利で運用すると、毎年の利息は一律5万円となり、元本が変わらない限り毎年の利息額は一定です。
複利とは?
複利とは、発生した利息を一定期間ごとに元本へ組み入れ、その合計額を新たな元本として次の利息を計算する方法です。わかりやすく言うと、「利息が利息を生む」仕組みで、運用期間中に得た利益を再投資することで雪だるま式に資産が増えていきます。
例えば、100万円を年利5%の複利で運用すると、1年目の利息5万円を元本に加えることで、2年目は105万円を運用することになります。その結果、2年目の利息は5万2500円となり、年々利息額が増えていきます。
単利と複利の違い
単利と複利の最も大きな違いは、利息を再投資するかどうかにあります。単利は利息を元本に組み入れないため、利息は常に最初の元本に対して一定の額が発生します。一方、複利では利息を元本に加えるため、運用期間が長くなるほど利息の上乗せ効果が大きくなります。
その結果、長期運用では複利の方が利息総額が大幅に増える特徴があります。
例えば、年利4%で100万円を運用した場合、5年目の差は約1万円ですが、30年目には約104万円の差が生じます。短期間では単利と複利の差はわずかですが、長期になるほど複利の効果が大きくなり、運用成果に大きな違いが生まれます。
単利の計算式
単利の利息計算はシンプルで、基本となる計算式は次の通りです。
元利合計(将来の資産額)= 元本 × {1 +(年利 × 運用年数)}
金利は通常、年率(年利)で表示されます。たとえば、元本100万円を年利5%で3年間単利運用した場合、毎年の利息は5万円となります。3年間の利息合計は5万円×3年=15万円、よって満期時の受取額は元本100万円+利息15万円=115万円です。
単利では、利息が元本に組み込まれないため、毎年同じ金額の利息が発生し、計算もシンプルです。
もうひとつ具体例を見てみましょう。元本100万円を年利1%の定期預金(単利型)に預けた場合、1年後の利息は100万円×1%=1万円となります。この条件で5年間運用すると、毎年1万円の利息が発生し、5年後の利息合計は 5万円となります。
このように単利では、元本と金利、運用年数がわかれば、将来の受取額を直線的に計算できるのが特徴です。
複利の計算式
複利の計算はやや複雑ですが、基本となる計算式は次の通りです。
元利合計(将来の資産額)= 元本 ×(1 + 年利)^運用年数
※「^」は累乗(べき乗)を意味します。たとえば、^2は「2乗」です。
この式は、年に1回利息を元本へ組み入れる年複利の場合に適用されます。
複利では、元本だけでなく、利息にも利息がつくため、運用期間が長いほど大きな差が出やすいのが特徴です。
例えば、元本100万円を、年利5%で3年間複利運用した場合:100万円×(1+0.05)^3≒115万7,625円
内訳として、【1年目】5万円の利息がついて元本が105万円【2年目】105万円に5%(5万2,500円)の利息【3年目】110万2,500円に5%(5万5,125円)の利息がつき、利息合計は約15万7625円です。単利の場合の利息合計15万円より多く、複利では利息にも利息が付く分だけ受取総額が増えることが分かります。
また、複利計算では利息の計算頻度(複利の頻度)も重要です。上記の例は年1回の複利計算ですが、利息を年2回や月ごとに組み入れると、その分、利息の増加ペースがわずかに高まります。例えば、年利1%で100万円を運用し、半年ごとに複利計算を行う場合、1年後の利息合計は 約1万250円となり、年1回複利の1万円よりも多くなります。
複利の頻度を上げることで、「利息が発生→元本に組み入れ」のサイクルが増え、利息の上乗せ効果が強まります。ただし、同じ年利であれば頻度による差はそこまで大きくなく、長期間運用することで、少しずつ単利との差が広がる点も理解しておきましょう。
単利と複利のメリット
単利と複利にはそれぞれ特徴がありますが、資産形成という観点では、基本的に複利運用の方が圧倒的に有利です。短期的な安定収入を重視するケースを除けば、できるだけ早く複利運用を始め、長期で続けることが資産を大きく育てる近道と言えるでしょう。
単利のメリット
単利の魅力は、計算がシンプルで運用成果を予測しやすい点です。利息は元本に対して一定額で発生するため、あらかじめ収益額が明確になり、資金計画を立てやすいという利点があります。
特に、「利息を毎月の生活費に充てたい」「一定の現金収入が今すぐ必要」といった事情がある場合には、あえて単利を選ぶという選択肢も現実的です。
たとえば、毎月分配型の投資信託や利息付き社債などを活用すれば、生活費を補いながら運用することも可能です。
ただし、長期運用においては資産増加のスピードが複利に比べて遅いため、あくまで現金ニーズがある場合に限った使い方がおすすめです。
複利のメリット
複利の最大の特徴は、得られた利息を再投資することで、資産が加速度的に増える点です。特に長期間運用することで、利息がさらに利息を生む「雪だるま式」の成長が期待できます。
また、一度運用を始めると、利息が自動的に元本へ組み入れられるため、追加の手間がかからず効率的です。特に長期投資では、「複利は最強の味方」と言われるほど、その効果は大きくなります。時間をかけて運用すればするほど、単利との収益の差が広がり、最終的な受取額に大きな違いが生まれる点も、複利の大きなメリットの一つです。
単利と複利のデメリット
単利と複利にはそれぞれデメリットも存在します。投資の目的や資金計画に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
単利のデメリット
単利は、長期運用において効率が悪く、資産の増加スピードが遅い点が最大のデメリットです。元本が増えないため、運用期間が長くなるほど複利との差が広がり、最終的な受取額に大きな差が生じます。例えば、年利5%で20年間運用した場合、複利の方がはるかに多くの利息を受け取れるケースがほとんどです。
「長期的にお金を増やしたい」という目的に対しては、効率が悪く、機会損失が生まれやすい運用方法と言えるでしょう。
また、インフレが進行すると、単利では資産の実質的な価値が目減りしやすく、購買力が上がりにくいという問題もあります。さらに、利息を再投資しないことで資金の活用効率が下がり、新たな投資先が見つからない場合、運用の機会損失につながる可能性があります。
複利のデメリット
複利運用は、効果が目に見えて表れるまでに時間がかかるのが唯一の弱点といえます。
そのため、「運用益をすぐに現金化して使いたい」「数年後に資金が必要」といった場合には、途中で資金を引き出しにくい点がデメリットになることもあります。
しかし、将来に向けた資産形成を重視するなら、多少の時間はかかっても複利を味方にする価値は十分にあると言えるでしょう。
資産運用での単利の活かし方
資産形成においては複利運用が基本ですが、どうしても定期的な現金収入が必要な場合には、あえて単利を活用するという選択肢もあります。単利は、利息や利益をその都度受け取って生活費などに充てたい場合に向いており、「今すぐ使えるお金が必要」というニーズがある場合に役立ちます。
とはいえ、単利は資産が増えるスピードが遅く、長期的な資産形成には不向きです。あくまでも「今すぐ現金が必要」「生活費に回す必要がある」など、特別な事情がある場合に限り、限定的に活用するのが現実的といえるでしょう。
定期的な現金収入を得る目的で活用する場合
社債や単利型の定期預金などを活用すれば、運用期間中に安定した利息を定期的に受け取ることができます。
たとえば、毎年利息が支払われる社債に投資することで、元本を維持しつつ、生活費の補填や支出に充てるための現金を得ることが可能です。
生活費に充てる必要がある場合
受け取った利息を日々の生活費や新たな支出に活用したい人にとって、単利運用は選択肢となり得ます。
たとえば、毎月分配型の投資信託に投資し、分配金をそのまま生活費として使う方法もあります。
また、単利型の定期預金や債券(国債・社債)などでは、利息やクーポンを再投資せずに受け取ることで、実質的に単利として活用することができます。
資産運用での複利の活かし方
複利の力を最大限に活かすには、得た利益を再投資し続ける運用方法を選ぶことが重要です。複利では、利息や配当が元本に組み入れられ、その元本がさらに利息を生むことで、資産が加速度的に増えていきます。
長期的な資産形成を目指すなら、迷わず複利
たとえば、再投資型の投資信託や株式の配当再投資(DRIP)を利用することで、得た収益をそのまま再投資し、複利効果を最大限に引き出すことが可能です。
時間を味方につければ、単利では得られない大きな資産形成につながるのが複利運用の大きな魅力です。
税制優遇制度を活用すれば、複利効果はさらに強まる
NISAやiDeCoなど、運用益が非課税となる制度を活用すれば、税金による資産目減りを避けながら複利の効果をフルに享受できます。
たとえば、投資信託の再投資型は分配金を自動的に元本に組み入れる仕組みになっており、新たな資金を追加しなくても資産が増えていきます。株式投資であれば、配当金を再投資し続けることで配当額自体も増加し、将来的な収益が大きくなるという効果もあります。
単利・複利を利用した代表的な金融商品
資産運用には、単利・複利の仕組みを活用できるさまざまな金融商品があります。それぞれの特徴を理解し、自分の運用スタイルに合った商品を選ぶことが重要です。
定期預金
銀行の定期預金には単利型と複利型の2種類があります。
単利型定期預金は、満期ごとに利息が支払われるため、受け取った利息を自分で再投資しない限り単利運用となります。
一方、複利型定期預金は、期間中に発生した利息を元本に組み入れ、満期時に元利合計を受け取る仕組みです。同じ利率でも、運用期間が長くなるほど複利型の方が受取額が増えます。
債券(国債・社債)
債券は、定期的にクーポン(利息)が支払われる金融商品ですが、通常その利息は自動的に再投資されません。そのため、クーポンをその都度受け取って使う場合は単利運用になりますが、クーポンを使わず新たな債券を購入すれば複利運用も可能です。
ただし、基本的には満期まで保有することで元本は増えず、定期的な利息収入のみを受け取る単利型の運用となるケースが一般的です。
投資信託
投資信託は、商品設計によって単利・複利のどちらの運用も可能です。
毎月分配型の投資信託は、分配金が頻繁に支払われるため、受け取った分配金をそのまま使えば単利的な運用になります。
一方、無分配型(再投資型)の投資信託は、分配金を出さずに基準価額に反映させるため、長期で運用することで複利の効果を得られます。
株式
株式投資では、配当金と株価上昇によって利益を得ることができます。
配当金をそのまま受け取って使えば単利運用となりますが、配当金を再投資(DRIP:配当再投資プラン)すれば、購入できる株数が増え、将来的に受け取る配当額も増えていくため複利効果を得ることができます。
株式投資では、再投資をするかどうかによって単利・複利のどちらの運用にもなり得ます。
貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
貸付型クラウドファンディングは、運用中に分配される利息収益の扱いによって単利・複利が決まります。例えば、LENDEXのように毎月配当(金利収入)が支払われる商品では、配当を出金して使えば単利運用となり、配当金を使わず新たな案件に再投資すれば複利運用となります。
複利効果を最大化するためのコツ
複利の恩恵を最大限に受けるには、時間を味方につけることと得た利益を再投資し続けることの2つが重要です。
できるだけ早く運用を始め、長期運用を続ける
複利の効果は、運用期間が長くなるほど大きくなります。そのため、できるだけ早く投資を始めることが資産形成の鍵となります。
たとえ少額からでも、時間をかけることで最終的な資産の増え方に大きな差が生まれます。特に、若いうちから運用を始めることで、リスクを分散しながら資産を増やしやすくなります。
利益を再投資し、「利息で利息を生む」サイクルを維持する
複利効果を最大化するには、途中で得た利息や配当金を使わずに再投資することが不可欠です。運用の途中で利息を引き出してしまうと、元本が増えず、複利の力が十分に発揮されません。
例えば、投資信託の再投資型を選択すれば、分配金が自動的に元本へ組み入れられ、手間なく複利効果を得ることができます。また、株式投資では配当金を再投資するDRIP(配当再投資プラン)を利用することで、配当金が新たな株式の購入に充てられ、資産が雪だるま式に増えていきます。
税金による目減りを防ぎ、複利の効果を高める
複利の効果を最大化するためには、税金による利益の目減りを防ぐことも重要です。NISAやiDeCoなどの運用益非課税制度を活用すれば、税金を引かれることなく再投資ができるため、より効率的な資産形成が可能になります。
このように、「長期運用」「再投資の継続」「税制優遇の活用」の3つを意識することで、複利の力を最大限に活かすことができます。時間を味方につけ、計画的な運用を心がけましょう。
単利と複利はどちらがお得?
結論として、長期的な資産形成を目指すなら複利運用の方が有利になるケースが多いです。
複利は、得た利息を元本に組み入れながら運用を続けるため、同じ利回りでも単利よりも最終的な資産額が大きくなります。運用期間が長くなるほどその差は広がり、例えば年利1%で5年間運用した場合、元本100万円では単利と複利の差は約1,000円ですが、年利5%で20年運用すると複利の方が30%以上多くの資産を得られる計算になります。さらに30年ともなれば、複利運用の方が倍以上の資産を築けるケースも珍しくありません。
ただし、短期運用や定期的な収益を得ることが目的の場合は、必ずしも複利が最適とは限りません。
例えば、1年定期預金では複利の効果はほぼ感じられず、単利型でも受取額に大きな差がないことがあります。また、毎月の利息を生活費に充てたい場合は、複利よりも単利型の金融商品(定期的に利息を受け取れる商品)の方が適していることもあります。
大切なのは単利と複利の違いを理解し、自分のニーズに合った方法を選ぶことです。単利と複利の違いを正しく理解し、資産の性質や運用方針に合った方法を選びましょう。
単利と複利の違いを理解して資産運用の成功を目指そう
単利と複利の違いは一見すると小さなものに感じるかもしれませんが、長期的な資産運用では結果に大きな差を生む重要な概念です。
単利は、利息を取り出して確実に手にする安定志向の運用方法であり、定期的な収益を得るのに適しています。
一方、複利は得た利息を再投入し、効率的に資産を増やしていく成長志向の運用方法です。どちらを選ぶかは、資産の目的や運用方針によって決まります。
それぞれの違いを正しく理解すれば、目的に応じて利息の扱い方をコントロールできるようになります。例えば生活費目的の資金は単利運用、将来のための長期資産形成は複利運用、といったように組み合わせて活用することで、より柔軟に資金を増やせるでしょう。
「複利は魔法のようだ」と言われることもありますが、じつは時間をかけてコツコツ再投資し続けることこそが“魔法”の正体です。逆に言えば、計画性や我慢強さがなければ複利の恩恵は受けられません。ぜひ単利と複利、それぞれの特徴を理解した上で、ご自身の資産運用を成功へと導いてください。
少額から始める堅実投資「LENDEX」の融資型クラウドファンディング
LENDEXは、2万円という少額から始められるため、投資初心者にも取り組みやすい融資型クラウドファンディングです。想定利回りは年5~10%と、銀行預金よりも高いリターンが期待できるうえ、不動産担保ローンへの出資となるため、相場変動の影響を受けにくく安定した運用が可能です。
また、毎月の分配金があるため、継続的なインカムゲインを得られる点も魅力です。多くの案件に担保や保証が設定されており、万が一貸し倒れが発生しても、担保処分などで出資金の回収が図れます。
さらに、サービス開始以来、貸し倒れゼロの実績を誇る点も投資家にとって安心材料です。
ただし、元本保証はないため、リスク分散が重要です。複数のファンドに少額ずつ分散投資することで、リスク軽減を図ることができます。
高利回りと安定運用を両立するLENDEXで、新しい資産運用を始めてみませんか?