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夫の遺族年金と妻の厚生年金、両方もらえる?受給条件と併給の仕組みを解説

大切な家族を失ったとき、残された配偶者の生活を支えるのが「遺族年金」です。たとえば夫が亡くなった場合、妻は夫の遺族年金を受け取れる可能性があります。さらに、妻自身も会社員として働いていれば、将来「老齢厚生年金」を受け取る権利もあります。では、この2つの年金は同時に受け取ることができるのでしょうか? それとも、どちらか一方しか選べないのでしょうか。

本記事では、遺族年金と厚生年金の基本をわかりやすく整理したうえで、併給の可否や受け取れるケース、注意点などを詳しく解説します。今後の備えとして、正しい知識を身につけましょう。

目次

まずは遺族年金と厚生年金の違いを理解しよう

夫の遺族年金と妻の厚生年金を併給できるか考える前に、それぞれの年金制度の基本を押さえておくことが大切です。遺族年金と厚生年金(老齢年金)は、支給される条件や仕組みが異なるため、まずはこの違いを理解しましょう。ここでは、遺族年金の種類や受給対象、支給額の概要と、妻の老齢厚生年金の仕組みについて解説します。

遺族年金とは?受給対象者と金額の基本

遺族年金は、家計を支えていた人が亡くなったとき、残された家族の生活を支えるために支給される年金です。種類は大きく「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つに分かれています。

遺族基礎年金は、亡くなった夫が国民年金に加入していた場合、18歳年度末までの子どもがいる妻や子どもが受け取れます。子どものいない妻は対象外です。支給額は老齢基礎年金と同程度で、子どもの人数によって加算される仕組みです。

一方、遺族厚生年金夫が厚生年金に加入していた場合に支給され、子どもがいない妻でも受け取れるのが特徴です。支給額は夫が受け取るはずだった老齢厚生年金の4分の3が基本となり、加入期間や収入により異なります。

また、30歳未満の子どものいない妻は原則5年間の有期給付、30歳以上であれば終身で受け取れる点もポイントです。さらに、40歳〜65歳未満の妻には中高齢寡婦加算がつき、老齢基礎年金の受給開始まで支給されます。

このように、遺族年金は子どもの有無や妻の年齢によって受給条件が変わるため、自分がどのケースに該当するのか確認しておくことが重要です。

妻の厚生年金とは?受給条件と仕組み

妻の厚生年金とは、妻自身が会社員や公務員として働き、厚生年金に加入していた期間に応じて支給される老齢厚生年金を指します。老後はこの厚生年金と老齢基礎年金の2つをあわせて受け取る形になります。

老齢基礎年金は、国民年金に10年以上加入していれば65歳から受給可能です。専業主婦だった期間も第3号被保険者として加入期間に含まれるため、一定期間以上加入していれば受け取ることができます。満額で年間約80万円が目安ですが、加入期間が短い場合はその分少なくなります。

老齢厚生年金は、厚生年金加入中の給与額と加入期間に応じて計算され、65歳から老齢基礎年金に上乗せして支給されます。かつては60歳から受け取れる特別支給もありましたが、現在は原則65歳からの受給です。

このように、妻が会社員や公務員として働いた経験があれば、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取れるのが基本となります。一方、厚生年金に加入していなかった専業主婦の場合は、老齢基礎年金のみの受給になります。

夫の遺族年金と妻の厚生年金、両方もらえるのか?

夫の遺族年金と妻自身の厚生年金は、それぞれ目的が異なる年金制度です。ですが、夫を亡くした妻にとってはどちらも生活の支えとなるため、「両方受け取れるのか」はとても気になるポイントでしょう。ここでは、基本ルールと例外ケースについてわかりやすく解説します。

原則は「どちらか一方」

結論から言うと、原則として両方を同時に満額受給することはできません。公的年金には「1人1年金」の原則があり、老齢・障害・遺族など異なる事由による年金を同時に受け取ることは基本的に認められていないからです。

たとえば、妻が老齢厚生年金の受給開始年齢になり、すでに夫の遺族厚生年金を受給している場合、基本的にはどちらか一方を選ぶ必要があります。これを「年金の受給選択」と呼び、書類による申請が必要です。

65歳以降は併給の特例も

ただし、65歳以降になると一部の年金を組み合わせて受給できるケースが出てきます。例えば、妻が65歳になり老齢基礎年金を受給する場合、夫の遺族厚生年金はそのまま受け取ることが可能です。この組み合わせは、基礎年金と厚生年金という異なる種類の年金だからこそ認められています。

また、妻が自分の老齢厚生年金も受給する場合、自分の年金が優先され、遺族厚生年金は差額分のみ支給される形になります。たとえば妻の老齢厚生年金が100万円、夫の遺族厚生年金が150万円なら、その差額50万円が上乗せされ、合計150万円が支給されます。一方、妻の老齢厚生年金の方が多い場合は、遺族厚生年金は支給されません。

併給できる組み合わせ・できない組み合わせ

併給が認められるケース

老齢基礎年金と遺族厚生年金:65歳以降の妻が受給可能

老齢厚生年金と遺族厚生年金:差額分のみ支給(実質的な併給)

併給が認められないケース

老齢基礎年金と遺族基礎年金:どちらか一方のみ

複数の遺族厚生年金:同時受給は不可で、有利な方を選択

このように、夫の遺族年金と妻の厚生年金は「原則はどちらか一方」「65歳以降は組み合わせや差額支給が可能」といった形で受給ルールが決まっています。自身の状況にあわせて、最も有利な受け取り方を選ぶことがポイントです。

遺族年金と厚生年金の併給パターンを具体例で解説

夫の遺族年金と妻の厚生年金は、妻の年齢や働き方によって受け取れる内容が異なります。ここでは「専業主婦の妻」と「共働き夫婦」の代表的なケースを例に、どのような組み合わせになるのかを見ていきましょう。

専業主婦の妻の場合

夫が会社員で妻が専業主婦だった場合、夫が亡くなった直後から妻は遺族厚生年金を受け取ります。18歳未満の子どもがいれば遺族基礎年金も加わりますが、いない場合は遺族厚生年金のみです。妻が30歳以上であればこの遺族厚生年金は原則終身で受給可能ですが、30歳未満かつ子どもがいない場合は5年間のみの支給になります。

65歳になると、自分自身の老齢基礎年金の受給が始まります。この老齢基礎年金と夫の遺族厚生年金は併給可能なため、両方を受け取ることができます。なお、妻が専業主婦だった場合は老齢厚生年金は基本的にないため、遺族厚生年金は減額されず満額が支給されます。

専業主婦の場合、老齢基礎年金と遺族厚生年金の組み合わせが老後の大切な収入源になりますが、30歳未満で子どもがいない場合など一部ケースでは受給が途切れるリスクもあるため、別途備えが必要です。

共働き夫婦の場合

夫婦ともに厚生年金に加入していた場合、夫が亡くなると妻は遺族厚生年金を受け取ります。妻が65歳未満の間は基本的に遺族厚生年金が優先され、老齢年金を受け取れる年齢になっても、金額の大きい方を選択する形になります。

妻が65歳になると、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給が開始され、ここからは併給調整が行われます。妻の老齢厚生年金が夫の遺族厚生年金より少ない場合は、差額分だけ遺族厚生年金が支給され、老齢基礎年金はそのまま満額受給できます。妻の老齢厚生年金の方が多ければ、遺族厚生年金は支給停止となり、自身の老齢年金のみを受け取る形です。

このように、65歳以降は「自分の年金+夫の遺族年金(差額分のみ)」または「自分の年金のみ」のどちらか有利な方が自動的に適用されるため、制度を意識しなくても最適な形で受給できます。

年齢や子どもの有無による違い

妻が若く子どもがいない場合は、遺族厚生年金が5年間限定になるケースがあります。また、子どもがいる場合遺族基礎年金が受給できるほか、子どもが独立した後も中高齢寡婦加算があるため、65歳前まで一定の収入が確保されます。

妻が65歳以上になれば、老齢基礎年金と遺族厚生年金(差額支給)の併給が基本パターンとなりますが、再婚した場合は遺族年金の受給権が消滅する点は注意が必要です。

併給可能な場合の受給方法と手続き

夫の遺族年金と妻の老齢年金が併給できる場合でも、自動的に支給されるわけではありません。年金を受け取るには、遺族年金・老齢年金のいずれも年金事務所での請求手続きが必要です。ここでは、手続きの流れと注意点をまとめてご紹介します。

年金事務所での手続きの流れ

まず、夫が亡くなった後は遺族年金の裁定請求を行います。年金事務所や市区町村の窓口で必要書類を受け取り、請求書を作成しましょう。書類には、死亡を証明する戸籍謄本年金手帳本人確認書類振込口座情報などが必要です。不明な点は窓口で相談しながら進めると安心です。

60〜64歳で老齢厚生年金の特別支給と遺族厚生年金が重なる場合は、年金受給選択申出書も提出し、どちらを受け取るか選びます。65歳以上ではこの選択は不要で、年金機構が自動的に差額調整を行ってくれます。

手続き後、審査を経て支給が決定されると、偶数月の年金支給月にまとめて振り込まれます。請求が遅れても最大5年までは遡って受け取れるため、万が一の際も早めの手続きを心がけましょう。

必要書類と注意点

遺族年金を請求する際の主な必要書類は以下の通りです。状況によって追加書類が求められることもありますが、一般的には次のようなものを準備します。

年金請求書(遺族年金用)

戸籍謄本や死亡診断書

本人確認書類(マイナンバーカードや免許証など)

年金手帳または基礎年金番号通知書

夫の加入記録(退職証明書など)

振込口座の通帳コピー

子どもがいる場合は在学証明書など

また、手続き後も注意が必要です。たとえば再婚した場合は遺族厚生年金が消滅するため、必ず届出を行いましょう。18歳未満の子どもがいる場合も、卒業や結婚などで資格を失うときは速やかに届け出が必要です。

専業主婦だった妻は、夫の死亡によって扶養から外れるため、国民年金の第1号被保険者への種別変更も忘れずに行いましょう。これを怠ると将来の老齢基礎年金額に影響が出る恐れがあります。

65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金が併給される場合、差額の調整は自動で行われるので特別な手続きは不要です。ただし、老齢年金を繰り下げ受給する場合などは満額支給などのケースもあるため、年金事務所で確認しておくと安心です。

    併給できない場合はどうなる?知っておきたい「選択制」の仕組み

    状況によっては、夫の遺族年金と妻の老齢年金を同時に受け取れないケースがあります。そんなときは、「選択制」のルールに従い、どちらか一方を選んで受給することになります。ここでは、その選び方のポイントや将来を見据えた考え方について解説します。

    どちらを選ぶべき?選択のポイント

    併給できない場合、基本は金額が多い方を選ぶのが一般的です。例えば、遺族厚生年金と60〜64歳の老齢厚生年金(特別支給)を比べると、夫の遺族厚生年金の方が高くなるケースが多いです。ただし、夫婦の収入差によっては妻の老齢年金を選んだ方が有利な場合もあります。

    また、生活資金の必要度も大切です。少しでも多く受け取れる方を選んだほうが、家計の助けになります。さらに、将来を見据えた判断も欠かせません。選択期間が終われば65歳以降は併給調整が入り、結局高い方が優先されるため、選択中はできるだけ多く受け取れる年金を選ぶのが基本です。

    ただし、老齢年金の繰上げ受給は受給額が減るため、あえて選ぶメリットは少ないでしょう。一方で、老齢年金の繰下げ受給(66〜75歳開始)を選ぶと、受給額が増える可能性があります。繰下げ中は遺族厚生年金を満額受け取れるため、将来の年金額を増やしたい人には一つの選択肢です。ただし、長生きする前提の制度なので慎重に考えましょう。

    将来の受給額を考慮した判断方法

    選択に迷ったときは、年金見込み額を試算してみましょう。「ねんきんネット」などを利用すれば、自分の老齢年金額が確認できます。夫の遺族厚生年金は加入実績からおおよその額がわかるため、比較はそれほど難しくありません。

    また、片方を選んだ場合でも、将来受け取れるチャンスがなくなるわけではありません。たとえば、60歳代前半は遺族厚生年金を受け取り、65歳以降は老齢厚生年金と併給(差額支給)になるなど、制度上のフォローがあるため、「片方を捨てる」イメージを持つ必要はないのです。

    さらに、ライフイベントの影響も考慮しましょう。再婚すると遺族年金は打ち切られるため、それまでの期間は遺族年金を優先する方法もあります。逆に、健康状態が不安な場合は繰下げせず、早めに年金を受け取る選択が適しているかもしれません。

    なお、税金面の違いもポイントです。遺族年金は非課税ですが、老齢年金は課税対象です。金額が同程度なら、非課税の遺族年金のほうが手取りが多くなるケースもあります。

    遺族年金・厚生年金の併給に関するよくある誤解

    夫の遺族年金と妻の厚生年金の関係については、制度が複雑なため誤解も生じがちです。最後に、併給にまつわるよくある疑問や誤解をQ&A形式で確認しておきましょう。

    「併給は一切できない」は本当?

    結論から言えば、「絶対に併給不可」というわけではありません。確かに、公的年金は原則として1人1年金ですが、65歳以降は老齢基礎年金と遺族厚生年金を組み合わせて受け取ったり、自分の厚生年金に不足する分を遺族厚生年金で補ったりする形で、実質的な併給が可能です。

    ただし、どちらも満額もらえるわけではありません。老齢厚生年金と遺族厚生年金は差額支給が基本となり、より高い方が優先される仕組みです。そのため、「公的年金で完全な二重取りはできないものの、有利な方は保障される」と考えるのが正解です。

    パートや再就職した場合は?

    遺族年金を受給中にパートや再就職をしても、原則として遺族年金が減額・停止されることはありません。老齢年金と異なり、遺族年金には在職による支給停止ルールはないからです。

    ただし、働いて厚生年金に加入すると、将来的に老齢厚生年金の受給額が増え、65歳以降の併給調整に影響します。具体的には、自分の老齢厚生年金が増えた分だけ遺族厚生年金の差額支給が減る形です。とはいえ、どちらかが減るというより「トータルでの損得は大きく変わらない」と考えてよいでしょう。

    また、働くことで自身の老齢年金を増やしておくと、将来遺族年金が停止された場合(再婚など)にも備えになります。なお、遺族年金は非課税なので、働いて高収入になっても所得制限で減ることはありません

    ただし再婚した場合は遺族年金の受給権が消滅するため、その後は自分の年金と収入で生活することになります。将来を見据え、働きながら自分の年金を増やすのは良い選択肢と言えるでしょう。

    まとめ|夫の遺族年金と妻の厚生年金、併給の仕組みを正しく理解しよう

    遺族年金と老齢年金は、原則併給できない場面がある一方で、65歳以降は特例的に組み合わせて受け取れる仕組みがあります。つまり、制度上きちんと優遇措置があるため「損をする」ということは基本的にありません

    ただし、子どもの有無や再就職、再婚といったライフイベントによって状況が変わるため、制度のルールをよく理解し、適切なタイミングで手続きを行うことが重要です。

    選択に迷った場合は年金事務所や専門家に相談し、自分にとって最も有利な受け取り方を考えましょう。また、年金だけに頼るのではなく、資産を分散して備えることも将来の安心につながります。

    たとえば、年金に加えて手元資金の一部を貸付型投資を活用して運用することで、リスクを抑えつつ安定的な資産形成を目指す方法もあります。

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    執筆者

    2018年から株式会社LENDEXに勤務。システム部を担当。システム制作やWebマーケティングを担当している。これまでにWeb開発や不動産投資関連の業務に携わってきており、その経験を活かして業務に取り組んでいる。

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