LENDEX業務部の石野です。
今年も確定申告の時期が近づいてきました。令和5年(2023年)提出分の確定申告期間は、令和6年(2024年)2月16日(金)から3月15日(金)までです。
ソーシャルレンディングで所得が増えた方は金額により確定申告の義務がありますが、「ソーシャルレンディングの確定申告方法は?」「どのような場合に確定申告は必要?注意点は?」など疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ソーシャルレンディングで確定申告が必要な方や確定申告の流れ、注意点について解説します。
ソーシャルレンディングで確定申告が必要な方
ソーシャルレンディングで確定申告が必要になるのは、次のような場合です。
・給与所得者:ソーシャルレンディングで得た利益(所得)が年間20万円を超える場合
・事業所得者:事業所得が発生した場合
確定申告が必要な場合は、令和5年(2023年)提出分の確定申告期間は、令和6年(2024年)2月16日(金)から3月15日(金)の間に確定申告と納税を済ませる必要があります。
給与所得者の方でソーシャルレンディングの所得が年間を下回る方の場合は、確定申告は不要です。
そのためおよそ200万円以下の投資額の方の場合は、確定申告が不要であるケースも多いです。
ただし他の投資で利益も得ているのであれば、複数の投資の所得を合わせて20万円を超える場合もあるので、確定申告が必要とされます。
参考:国税庁「確定申告が必要な方」
ソーシャルレンディングの利益(所得)にかかる税金
分配金など、ソーシャルレンディングの利益はあらかじめ20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)が源泉徴収されています。
源泉徴収によって、事業者が代わりに納税をしていますが、ソーシャルレンディングの分配金は雑所得に分類されるため総合課税の対象となります。
総合課税は、課税所得額に応じて所得税率が5%〜45%適用されます。所得税の税率は、以下のとおりです。
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
1,000円〜194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万〜329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
※国税庁「所得税の税率」より
ソーシャルレンディングの利益は源泉徴収されていますが、実際にかかる税金と差額(過不足など)が生じる可能性があるため、確定申告が必要です。
総合課税とは…他の所得と合算した金額に対して課税する方法
ソーシャルレンディングの確定申告の流れ
ソーシャルレンディングの確定申告の流れは、次のとおりです。
1.必要書類の準備
2.所得額の計算
3.確定申告書の作成・提出
4.所得税の納付
それぞれの内容について確認していきましょう。
1.必要書類の準備
まずは、確定申告に必要な書類を準備します。
必要な書類は、以下のとおりです。
・確定申告書A(給与所得者の場合)
・個人番号がわかるもの(マイナンバーカードなど)
・源泉徴収票
・年間取引報告書
・経費を証明する領収書など
参考:国税庁「確定申告の際にご持参いただくもの」
LENDEXの年間取引報告書はマイページ内の「運用実績」タブから「取引報告書の作成」をクリックするとダウンロードできます。
2.所得額の計算
確定申告をするには、所得額(雑所得)を把握する必要があります。
ソーシャルレンディングによる所得は分離課税の対象ではないため雑所得に該当します。
所得額は「収入-必要経費」で計算します。
・収入:年間取引報告書
・必要経費:領収書など
上記の方法で収入と必要経費を確認し、所得額を把握しましょう。
3.確定申告書の作成・提出
確定申告書の記載事項は、以下のとおりです。
・所得の内訳(第二表)
・収入金額等「雑所得」の「その他」(第一表)
・所得金額等「雑所得」の「その他」(第一表)
・源泉徴収税額(第一表)
ソーシャルレンディングの場合は確定申告書の第二表にまず年間取引報告書を参考に、所得の内訳に収入金額(所得金額)と源泉徴収額を記入します。
そして第一表の収入金額、所得金額にも記入をし、源泉徴収額に、源泉徴収された金額の記入を行います。
確定申告書の提出方法は、以下のとおりです。
・e-Tax
・郵送
・税務署に提出
4.所得税の納付
所得税の納付が必要な場合は、確定申告期間内(2024年2月16日(金)から3月15日(金))に納付をします。所得税は、以下の方法で納付できます。
・e-Tax
・口座振替
・クレジットカード
・コンビニ(QRコード)
・金融機関もしくは税務署の窓口
参考:国税庁「納税の方法」
ソーシャルレンディングの確定申告に関する注意点
ここからは、ソーシャルレンディングで確定申告する際の注意点について見ていきましょう。
雑所得になるため損益通算や損失の繰越控除はできない
雑所得は、他の所得と損益通算ができません。損益通算とは、赤字所得で他の黒字所得を相殺する仕組みです。課税所得額が減るため、節税効果があります。
また、雑所得は損失の繰越控除もできません。損失の繰越控除とは、その年の損失を控除しきれない場合に、翌年以降に最長3年間繰り越せる制度です。
雑所得は、損益通算や損失の繰越控除ができないことを覚えておきましょう。
あくまで損益が発生した年に確定申告を行わなければいけません。
確定申告をしないとペナルティを課せられる
確定申告が必要にも関わらず、確定申告をしなかった場合はペナルティ(無申告加算税)が課せられる場合があります。
・無申告加算税:期間内に確定申告をしなかった場合。納税額50万円以内の部分は15%、50万円超の部分は20%の加算税
確定申告と所得税の納付は、期間内に済ませましょう。
確定申告をしないと還付されるお金が戻ってこないこともある
ソーシャルレンディングの所得は予め20.42%の源泉徴収が行われて皆様に振り込まれます。
そのため、確定申告後所得金額次第では源泉徴収がお金が戻ってくることもあります。
先に挙げたように所得税率は所得によって税率が異なる累進課税制度を採用しています。
例えば所得とソーシャルレンディングの所得が195万円(控除後)未満の場合、所得税率は5%であり、住民税を足しても約15%です。
そのため20.42%の源泉徴収税率を下回るので、確定申告をすることで納めすぎた税金の還付を受けられます。
必ず確定申告を行うようにしましょう。
まとめ
今回は、ソーシャルレンディングで確定申告が必要な方や確定申告の流れ、注意点について説明を行いました。
ソーシャルレンディングで一定の利益が出た場合は、確定申告が必要です。確定申告は期間が決まっており、遅れると追徴課税などペナルティが課せられる場合があるため注意が必要です。
ソーシャルレンディングで利益が発生している方は、確定申告が必要か確認してみてください。