世界を揺るがす恐慌は数十年に1度訪れており、その都度日本も影響を受けてきました。最近その影響を受けたのがリーマンショックです。しかし、言葉は知っていてもその原因や影響がどんなものだったのか、知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事ではリーマンショックとは何かを中心に、原因や日本への影響などをご紹介します。
リーマンショックとは?
リーマンショックとはどういうものだったのか、リーマンショックの由来などを解説します。
リーマンショックの由来
リーマンショックは、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻をしたことをきっかけに世界的な金融危機が発生したことから名づけられました。リーマン・ブラザーズは1850年からあった世界的に有名な投資銀行であり、日本でも知る人ぞ知る存在でした。
ちなみにリーマンショックという言葉は日本でしか通用しない言葉であり、海外では「the 2008 financial crisis」などと称されます。
リーマンショックが与えた影響
リーマンショックが与えた影響はあまりにも大きく、世界の富裕層を中心に大きな打撃をもたらしました。世界的に動かされてきた資本移動のうちに、リーマンショックで90%が失われ、2000兆近くあった資本移動が200兆弱まで減ってしまったのです。
貿易に関してもすべての国で輸出入が減ったほか、9割近い
リーマンショックが発生したのは、リーマン・ブラザーズが経営破綻した2008年9月15日です。ただ厳密にはリーマンショックの前からサブプライム住宅ローン問題は深刻化しつつあり、問題への対応を迫られていました。いわばその引き金となったのがリーマンショックであり、2008年9月15日だったと言えます。
一方で短期的な困難は乗り切っても、その後ダメージはじわじわと続き、イギリスにおけるRUからの離脱やウクライナ紛争など様々な影響を残しました。ウクライナ紛争は今も深刻な状況にあり、リーマンショックの影響はまだ続いているという見方もできます。
リーマンショックの原因
リーマンショックの原因はサブプライム住宅ローンにあります。サブプライム住宅ローンとはどういうものなのか、なぜリーマンショックにつながったのかをご紹介します。
サブプライム住宅ローンについて
サブプライム住宅ローンは、若干支払いに問題がありそうな人たちを中心に貸し付けられてきた住宅ローンです。サブプライム層と呼ばれる、支払い能力が盤石なプライム層の下にいる一般的な層を中心に貸し付けが行われてきました。
サブプライム住宅ローンは一般的な住宅ローンよりも金利が高い一方、信用情報に傷があるブラックな人でも利用できるのが特徴的です。サブプライム住宅ローンにより、年収がそこまで高くない人でも持ち家を持つことができました。
年々不動産価格が上昇するため、住宅を担保にして別のローンに借り換えを行って負担軽減を図るなど、あちらこちらで住宅ローンが組まれる状況にありました。
最大の原因はサブプライム住宅ローンの証券化
リーマンショックにつながる大きな原因はサブプライム住宅ローンの証券化にありました。貸し付けを行う相手は金融ブラックの人なども含まれており、貸し付ける側にもリスクがあり、リスク分散のために証券化を行い、売り出していたのです。
金利が高いため、利回りが良かったこともあり、リーマン・ブラザーズなどの投資銀行やヘッジファンドがこぞって購入し、利益を生み出していました。
住宅価格が落ちて万事休す
住宅価格が上昇しているうちは借り換えが行えるほか、資産価値もどんどん上がるため、大きな問題はありませんでした。しかし、住宅価格が落ち始めた2006年から状況が変わります。借り換えができなくなり、返済が滞るようになると、住宅ローン会社の破綻が相次ぎ、証券の価格も落ちます。
証券の価格が落ちることでヘッジファンドなどにも影響が出始め、金融機関もその対応に追われ始めました。その最中にリーマン・ブラザーズが経営破綻をしてしまったことでリーマンショックが起きてしまったのです。
リーマンショックが与えた日本への影響
リーマンショックは全世界に影響を及ぼしました。当然日本にもその影響はあり、大きな痛手を負った企業も少なくありません。ここでは日本への影響についてご紹介します。
景気悪化が深刻化
当時の日本経済は景気の減速などがすでにあり、状況としては何か問題が起きれば平気で転がり落ちるような状況だったと言えます。その問題が起きてしまったことで、景気は一気に悪化します。
日経平均株価は当時7,000円を割り込む危機的な状況で、リーマンショックが起きてから4割以上値を下げたこともあります。現在も日本は海外で稼いで収益を得る状況ですが、当時もその方向性にあり、あのトヨタ自動車が実に60年ぶりとなる営業赤字を記録してしまいました。
派遣切りが横行
日本経済は深刻な不況を迎えたことで、派遣切りが横行し、2008年の年末には「年越し派遣村」が登場し、支援が行われるまでに至ります。それほどまでに日本の経済に深刻な影響を与えたほか、リーマンショックが起きたことで倒産に追い込まれた企業も目立ちました。
またこの当時内定をもらっていた新卒学生にも影響が出てしまい、多くの学生が内定取り消しの憂き目に遭ってしまいました。
リーマンショックが再び起きる可能性
リーマン・ブラザーズが経営破綻をしたため、「リーマンショック」が文字通り起きる可能性はありますが、何かをきっかけにした世界恐慌は十分に起こりうると言われています。ここからはリーマンショックが再び起きる可能性をご紹介します。
2024年に世界恐慌が起きる?
ここ最近、2024年に世界恐慌が起きると唱える識者が多く存在し、様々な媒体で2024年世界恐慌説を紹介する記事が出ています。その震源はアメリカからという声もあれば、中国からという声もあるなどバラバラですが、2024年に世界恐慌が起きるという話は根強く存在している状況です。
ここまで2024年世界恐慌説が根強いのは、アメリカの株価が今も上がり続けており、どこかで崩壊するという見方があるためです。現在日本は未曽有の円安状態にあり、1ドル150円が当たり前の状況となっています。しかし、少し前までは120円あたりにおり、明らかに円安が激化していることが言えます。
アメリカが金利上昇中、日本は金利を据え置きにせざるを得ない状況にあり、そのために円安の激化につながっているのです。金利を上げることで経済を引き締めしようとする動きにつながるため、どこかでピークを迎えると言われています。問題はいかにソフトランディングをするかですが、このソフトランディングに失敗した時に世界恐慌が起きるとささやかれているのです。
いつの時代も世界恐慌が叫ばれる
一方で、世界恐慌の話題は毎年のように出ており、その目測は当たりにくいのが実情です。実際に世界恐慌が起きた状況では、直前に逃げ切れた勢力は一握りしかなく、ほとんどの勢力は逃げ遅れています。しかも、逃げ切れた勢力はちょっとした変化に鋭く反応したために逃げ切れたため、誰しもが世界恐慌を語っているから逃げようとしたわけではありません。
それだけ世界的に景気がいい証拠であり、世界恐慌を叫ぶことで関心を持ってもらいたい気持ちがあると言えます。またコロナショックで既に世界恐慌的な落ち込みはあるため、短期間で何度も起きるのかという見方もあります。
「次のリーマンショック」に備えるために行えること
リーマンショックのような世界恐慌が再び訪れる可能性は十分に考えられます。そんな時に私たちはどんな備えをすればいいのか、ご紹介していきます。
あえての不動産
リーマンショックはサブプライム住宅ローンの証券化が原因で起こりましたが、世界恐慌に備えるためには不動産がおすすめです。この場合の不動産は単に土地だけを持つのではなく、アパート・マンション経営を行う形で保有するのが有力です。
世界恐慌になったからといって、いきなり家を引っ越す人はいません。更新のタイミングなど何かしらの出来事があって引っ越しをするものであり、経済情勢ではそう簡単に動かないものです。不動産投資の場合は担保がしっかりしている分、融資を受けやすいのがポイントです。
株などは一瞬にして値を下げますが、不動産はそう簡単に下がりません。長く持ち続ける中で賃料収入も得ていく形であれば財産として有力です。
ゴールドは値崩れしにくい
有事の際には金が人気になります。現状金相場は高止まりしつつあり、1グラム1万円も見えてきました。こうした相場ではどこかでダダ下がりするようなケースもありますが、金に関しては高位安定の状態です。
値崩れしないということは、資産としてはかなり安全であり、保有し続けることはプラスになりやすいでしょう。
太陽光なども手
世界恐慌の状況にあってもあまり影響を受けない投資、それは太陽光などの事業です。電気料金は以前よりも非常に高くなっている一方、太陽光発電を始めるのにコストがさほどかからなくなっています。
売電価格も下がっていますが、それ以上に導入コストが下がったほか、自前で消費することで電気料金を大幅にカットできます。これだけでも投資としては強く、世界恐慌の影響は受けにくいです。原油が高騰し電気料金を直撃する状況は本来苦しいですが、そこを回避できるのが大きな強みと言えます。
まとめ
リーマンショックのようなことはいずれも起きます。これは歴史が証明しており、いつか大きな騒動が起こりますが、それが来年なのか10年後なのか50年後なのかはわかりません。いわば地震のようなものです。いつ起きてもいいように備えておくことが求められます。
もちろん現金で確保し続けるのが確実ですが、インフレの問題もあります。不動産が原因で起きたリーマンショックですが、結局自分の身を助けてくれるのもまた不動産なのです。