「高配当株はなぜおすすめしないといわれている?」
このような疑問にお答えします。
高配当株は多くの配当金を受け取れるのが特徴ですが、どのような理由で推奨されていないのか気になる方も多いでしょう。
本記事では、高配当株がおすすめしない理由を解説します。
また、購入するべきでない高配当株の特徴も解説するため、株式投資に興味のある方はぜひご覧ください。
高配当株の購入をおすすめしない理由4つ
高配当株がおすすめしないといわれている理由は、以下の4点が考えられます。
- 減配や無配のリスクがある
- 値上がり益や売却益が期待できない
- 二重課税によって税率が高くなる
- 資産形成の効率が悪い
それぞれの理由を解説するため、株式投資を始めようと考えている方は必見です。
減配や無配のリスクがある
株式投資で配当の還元は義務ではなく、高配当株であっても企業の業績次第では減配や無配のリスクがあるため、おすすめしないといわれています。
業績不振や経営悪化などが原因で企業が配当金を減らすことを減配、配当金を停止することを無配といいます。
過去には、以下の3社が減配や無配を行うことを発表しました。
企業名 | 時期 | 詳細 |
---|---|---|
日本郵政 | 2020年8月 | 中間配当を停止 |
日本たばこ産業 (JT) | 2021年12月 | 上場以来、初の減配を発表 |
インテル(米半導体の大企業) | 2024年8月1日 | 2024年四半期から配当を停止すると発表 |
また、イギリスのファッションブランドのバーバリー・グループも、2025年3月期に配当を停止すると発表しています。
減配や無配によるリスクを下げるためには、複数の銘柄に分散投資を行ったり、保有している株数を少なくしたりなどの対策が必要です。
値上がり益や売却益が期待できない
高配当金の株は株価上昇による利益や売却益が見込めないため、推奨できないといわれています。
企業の利益の使い道には事業への再投資と株主への配当金の還元の2種類がありますが、成熟した企業は配当金の還元を優先する傾向があります。
すると、事業拡大に充てる資金が少なくなり、株価の上昇や企業全体の成長はあまり期待できません。
二重課税によって税率が高くなる
高配当株は銘柄によっては二重に税金がとられる場合があることも、おすすめしないといわれる理由の一つです。
基本的に、株式投資の配当金には20.315%の税金が差し引かれますが、外国株を保有していた場合は、さらに10%の外国税も天引きされます。
たとえば、外国株を保有して100万円の利益が出ても、30.315%の税金=303,150円が差し引かれ、手元に残るお金は696,850円と目減りしてしまいます。
そのため、高配当株の取引で節税したい方はNISA口座で株式を購入したり、外国株であれば確定申告を行って外国税の控除を受けたりしましょう。
資産形成の効率が悪い
高配当株の取引は資産形成するうえでは非効率であることも、おすすめしないといわれる所以です。
配当金を多くもらえても20.315%の税金(所得税15.315%+住民税5.0%)がかかり、原資が減ってしまうためです。
また、減配や無配が実施されることもあり、いつでも複利効果を活用して利益を雪だるま式に増やせるとも限りません。
購入してはいけない高配当株の特徴
以下のような特徴を満たす高配当株は、購入しない方が無難です。
- 配当利回りが高すぎる
- 配当性向が100%以上
- 企業の業績が悪い
それぞれの特徴と購入してはいけない理由を解説するため、高配当株を深く知りたい方はぜひ参考にしてください。
配当利回りが高すぎる
配当利回りが7%以上と高すぎる高配当株は減配リスクが高く、購入をおすすめしません。
配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を指し、「年間配当金÷株価×100」の計算式で算出できます。
配当金が増えれば配当利回りが上昇しますが、以下の理由で増配した場合は減配が起きやすいため、要注意です。
- 会社の創立などの記念日による増配
- 資産の売却や借金、積立金の切り崩しなどで無理に配当金を出している
記念日による一時的な増配は時間が立てば通常の配当に戻り、配当利回りが低下してしまいます。
また、株主からの出資を止めないために配当金を無理に出すケースもありますが、事業資金が少なくなると企業の成長が止まり、やがて減配や無配を行う可能性が高いでしょう。
つまり、配当利回りが高いからといって、株式投資で必ずしも右肩上がりの利益が出るとは限りません。
配当性向が100%以上
配当性向が100%以上と高すぎる高配当株も、購入するべきではありません。
配当性向とは、当期純利益の内どのくらい配当金の支払いに充てたかを表す割合で、「配当金支払総額÷当期純利益×100」の計算式で割り出せます。
配当性向が100%以上であれば、純利益の全額または全額を超える額を配当金にしていることが多く、将来減配や無配のリスクがあります。
本来、配当は企業が出した利益の一部を株主に還元するためのものです。
しかし、十分な利益がでていないにもかかわらず配当を出している企業は危険で、たとえ高配当であっても購入するのはおすすめしません。
ただし、配当性向が50%以下の高配当株は、購入しても問題ありません。
企業の業績が悪い
以下の点が原因で業績が悪化している企業の高配当株も、購入しない方が無難です。
- 赤字決算
- 経営不振
- 経営計画の下方修正
- 粉飾決算や脱税などの不祥事
通常、業績が良い企業が年に1〜2回配当を還元しますが、業績悪化の場合は話が別です。
業績が悪い企業の株価は暴落する可能性が高く、徐々に減配や無配が行われるため、直に高配当株ではなくなります。
高配当株の購入をおすすめしない方の特徴
以下の特徴を持つ方には、高配当株の購入は推奨されません。
- 短期的に大きな利益を出したい方
- 企業の成長性を重視する方
それぞれの特徴を押さえ、自身に当てはまっていないか確認してみましょう。
短期的に大きな利益を出したい方
高配当株は値上がり益や売却益があまり期待できないため、すぐに大きな収益を出したい方には向いていません。
また、高配当株の価格は短期間に大きく変動しない傾向にあり、一度高配当の株を購入して保有すると、受身的な投資になってしまいます。
短期的に高い収益を狙いたい場合は、成長株やFX、仮想通貨へ投資するのが適しています。
企業の成長性を重視する方
成長株に投資したい方も、高配当株を購入しない方が良いでしょう。
高配当株の企業は利益の大半を既存事業や新規事業への投資ではなく、配当金の還元に使用する傾向にあります。
そのため株価は上昇しづらく、成長性はあまり期待できません。
また、減配や無配が実施されて、いずれ高配当株ではなくなるでしょう。
高配当株を購入したい方がとるべき対処法
おすすめしないといわれている高配当株をそれでも購入したい方は、以下の対処法を実践してみましょう。
- 異なる業界の株を購入して分散投資を行う
- 累進配当株を選ぶ
- 企業の営業利益や経常利益をチェックする
- NISA口座を活用する
分散投資は減配・無配によるリスクを回避でき、NISA口座を利用することで、税金の軽減が図れます。
それぞれの対処法を押さえれば、高配当株で利益を出しやすくなるでしょう。
異なる業界の株を購入して分散投資を行う
金融やIT、不動産や小売など、値動きの異なる業界の株を購入して分散投資すれば、値動きが一部相殺されて価格変動のリスクを抑えられます。
一方、特定の業界のみの株に集中投資すると株価暴落のダメージを一気に受けるため、おすすめしません。
累進配当株を選ぶ
配当水準を維持しており、事業利益の増加に合わせて増配し続ける累進配当株を購入するのも選択肢の一つです。
累進配当株は、以下のような条件を満たす銘柄が該当します。
- 累進配当政策を宣言しているか
- 累進配当に10年以上の実績がある
- 配当性向が30%以上
また、代表的な累進配当株の銘柄を以下の表にまとめました。
企業名 | 非減配期間 | 配当利回り(予想) | 2024年8月時点の株価 |
---|---|---|---|
井村屋グループ | 40年超 | 1.29% | 2.401円 |
アサヒグループホールディングス | 40年超 | 2.35% | 5,147円 |
エスビー食品 | 40年超 | 1.28% | 4,835円 |
日本化薬 | 40年超 | 3.43% | 1,313円 |
花王 | 40年超 | 2.33% | 6,439円 |
ライフコーポレーション | 40年超 | 2.60% | 3,455円 |
どの企業も40年間は減配を行っておらず、配当利回りも1〜3%と比較的低いため、安全です。
ただし、1株は1,300〜5,100円と高く、最低売買単位の100株以上を購入するには多額の初期費用が必要になるため注意が必要です。
企業の営業利益や経常利益をチェックする
高配当株を購入する際は配当性向や配当利回りのみでなく、企業の営業利益と経常利益も確認してください。
営業利益とは本業の儲けを表す利益で、経常利益は本業と副業を合わせた企業全体の売上を指します。
営業利益や経常利益が高いと増配や株価上昇が期待でき、反対の場合は、株価暴落や減配、無配の可能性が高いため注意しましょう。
なお、純利益は単発かつ臨時の出来事で増減しやすく、高配当株選びの参考にはなりません。
NISA口座を活用する
NISA口座を活用すれば高配当株を売買しても税金がかからないため、お得です。
NISAとは2014年1月から始まった少額投資非課税制度です。
通常、株式投資で得た売却益や配当には20.315%の税金が発生しますが、NISA口座の成長投資枠で高配当株を購入すると、一定額まで利益が非課税になります。
NISAの成長投資枠の特徴を、以下の表にまとめました。
成長投資枠 | |
---|---|
非課税保有期間 | 無制限 |
年間投資枠 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 1,200万円 |
対象の金融商品 |
|
対象年齢 | 18歳以上 |
参照:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
なお、収益が非課税限度額の1,200万円を超えると非課税にはなりませんが、保有中の高配当株を売却すれば、翌年以降に非課税保有限度額を再度利用できます。
ただし、NISAで非課税対象になるのは上場株式で、非上場株式はNISAの対象外であるため注意が必要です。
効率よく資産運用をしたいならLENDEX
資産運用を効率良く行いたい方は、LENDEXの利用がおすすめです。
LENDEXは、2018年に開始した融資型クラウドファンディングのサービスです。
また、融資型クラウドファンディングとは、複数の投資家から募った融資金を企業のプロジェクトに運用し、運用結果に応じて投資家に配当を還元するサービスを指します。
LENDEXの平均利回りは7.09%と業界最高水準で、高配当株と比べても資産形成の効率が高いサービスです。
そして、専門知識のあるスタッフによる厳しい審査を通過した案件のみを取り扱っているため、元本割れは0件と驚異的な数値を誇っています。
なお、配当が振り込まれるのは毎月の利息の支払日から4営業日以内と早く、配当の遅延や減配、無配は一切起きません。
興味のある方は、無料で口座を開設してみましょう。
高配当株をおすすめしないことに関するよくある質問や疑問
高配当株をおすすめしないことに関しての質問や疑問を、Q&A形式で回答します。
高配当株の購入を検討している方は、ぜひご覧ください。
高配当株がダメな理由は何ですか?
高配当株がダメといわれているのは、以下の理由が考えられます。
- 減配や無配のリスクがある
- 値上がり益や売却益が期待できない
高配当を打ち出している企業は利益のほとんどを配当金に還元していることが多く、今後業績が悪化すると、減配や無配が行われる可能性が高くなります。
また、そのような企業の成長性は低く、株価の値上がり益や売却差益もあまり期待できません。
つまり、高配当株は保有すると薄利になる可能性が高いため、ダメといわれています。
高配当株で最強の銘柄は?
高配当株で最強の銘柄は、以下の企業のものを指します。
- 極東証券
- 水戸証券
- 丸三証券
- ITメディア
- 日産自動車
- 東洋建設
参照:https://www.nikkei.com/marketdata/ranking-jp/dividend-yield/
主に、配当利回りが6〜10%と高い大企業の株が、最強の銘柄だといわれています。
減配や無配のリスクで利益が期待できないなどの観点から高配当株はおすすめしない
本記事では、高配当株がおすすめしないといわれている理由を解説しました。
減配や無配のリスクが発生しやすく、値上がり益や売却益が期待できないなどの理由から、高配当株はおすすめしないといわれています。
具体的には、配当利回りが7%以上で、配当性向が100%以上と高すぎる高配当株は、購入をおすすめしません。
高配当株の売買で収益を出したい方は、異なる企業の株に分散投資したり、配当水準をキープしている累進配当株を購入したりしましょう。
この記事を読んで、投資自体や株式投資を始めるきっかけになれば、幸いです。
なお、減配や無配のリスクをなくしたい方は、融資型クラウドファンディングのサービス・LENDEXの利用もおすすめです。