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テーパリングとは?金融における意味をわかりやすく解説|投資への影響や量的金融緩和政策について

 

 

皆さんはテーパリングをご存じですか?テーパリングは金融政策の1つであり、私たちになじみこそありませんが、とても大事な金融政策です。

 

本記事ではテーパリングとは何かを中心に金融におけるテーパリングの意味や投資への影響などをご紹介していきます。

目次

テーパリングとは?

テーパリングとはどのようなものなのか、テーパリングの意味など基本的な内容を最初に解説します。

金融におけるテーパリングの意味

 

テーパリング(tapering)には言葉の意味として段々と補足する、段々と減らすなどの意味があります。これが転じる形で、量的金融緩和の縮小を意味します。

 

量的金融緩和とは日銀などの中央銀行が銀行などの金融機関から国債や手形を買い取ることで、市場に流す資金を増やしていく政策です。デフレの時期に行われる政策であり、じゃんじゃんとお金を流していくことでデフレを解消させ、インフレを促す狙いがあります。

21世紀以降に登場した言葉

テーパリングは実は21世紀に入ってから使われた言葉です。最初にテーパリングを使ったのはアメリカの中央銀行にあたるFRB連邦準備制度理事会の元議長であるバーナンキ氏が使いました。量的金融緩和の修正を意味した言葉として用いられました。

 

アメリカではリーマンショック後に量的金融緩和が行われ、一定の成長を見せてから段々と縮小させていきました。この縮小の中でバーナンキ氏の「テーパリング」が登場したのです。

テーパリングはなぜ必要なのか

テーパリングはなぜ必要になってくるのか、その理由についてご紹介していきます。

量的金融緩和の役目が終わったから

そもそも量的金融緩和は世界的にはあまり行われてこなかった政策であり、デフレに困っていた日本が世界で初めて行った政策です。政策金利の引き下げだけではどうにもならなかったため、量的金融緩和を行うことで経済を刺激しようとしたためです。

 

一時的に量的金融緩和は終わりを迎えましたが、リーマンショックや東日本大震災、政権交代などを受け、アベノミクスの一環で再び量的金融緩和が行われ今に至ります。そして、ようやくインフレになり、物価高が叫ばれ始めた時代にあって、量的金融緩和はもはや終わりにしなければならないというムードが日に日に高まっています。

 

リーマンショック後や新型コロナショックがあったアメリカでも量的金融緩和は行われましたが、インフレ率が上がったことで量的金融緩和の役目が終わり、テーパリングを即座に行っています。量的金融緩和の役割が終わったと判断された時点でテーパリングが行われます。

そもそも量的金融緩和政策が異次元の政策だから

量的金融緩和政策が日本で初めて行われたことは先ほどもご紹介しましたが、なぜ日本が世界初となったのか不思議に思う方もいるはずです。その最大の理由は政策金利をこれ以上下げようがなかったからです。

 

ゼロ金利政策と呼ばれ、政策金利をゼロにして経済に刺激を与えようとしました。しかし、これでもなお不十分だったため、2001年に量的金融緩和がスタートし、今もそれが続いています。他の国では政策金利の上げ下げで景気の刺激や引き締めを行っている中で、日本は政策金利がすでにゼロなので量的金融緩和でしか対応できなかったのです。

 

いわば異次元の政策、インフレが始まったらすぐにテーパリングを行うべき政策と言えます。日本以外はある程度短いスパンでテーパリングまで行われましたが、日本ではいまだ慎重な動きにならざるを得ない状況です。

テーパリングにおける投資への影響

日銀がテーパリングを行うことは私たち投資家にどんな影響を与えるのか、投資への影響についてご紹介していきます。

長期金利が上がって借入に影響が出る

テーパリングを行う状況は早い話、政策金利がゼロ近辺にあることを意味し、長期金利はある程度低い状態にあります。テーパリングを行うことで国債の買い入れが減るため、国債価格は落ち、その分、長期金利は上昇します。

 

長期金利が上昇すれば、企業が借り入れを行うにも利率がかかり、住宅ローンなども上がりやすくなります。すると、利払いだけで負担がかかるようになるため、一時的に景気を冷やすような形になりやすいのです。

株価が下がりやすくなる

長期金利が上がることは資金調達にかかるコストが上がりやすくなることを意味します。長期金利が上がって資金調達にコストがかかると、企業からすれば悪影響の方が大きくなるのです。すると、株価は理論的に下がりやすくなります。

 

特にテーパリングという言葉が初めて飛び出た時期は、過剰な反応も見られ、日本ではサーキットブレーカーと呼ばれる急激な株価暴落による取引の中断もあったほどです。テーパリングを行うにしても、相当下準備と根回しを行わないと市場は過剰な反応を示す可能性があります。

テーパリングの実施によってお買い得な株が出てくる可能性も

テーパリングを行うことは一時的に株価の下落を呼びますが、確実に言えることは外的要因による下落に過ぎず、その企業の問題ではありません。つまり、テーパリングを行って影響を受けた株価はいずれ戻る可能性がそれなりにあるということです。

 

言ってしまえばテーパリングの影響でお買い得な株が市場に出てくるというわけです。テーパリングによってどんな株価の動きを見せるのかは常にチェックしておく必要があります。その上で普段からお買い得な株を探しておくことも必要でしょう。

日本でテーパリングはいつ起きるのか

ここで重要なのは日本でテーパリングはいつ起きるのかについてです。異次元緩和など世界に先駆けて量的金融緩和を行ってきた日本ではテーパリングは必須と言えます。だからこそ、いつテーパリングが起きるのか、そのあたりの認識はしておいて損はないでしょう。

日本ではすでにテーパリングを始めている?

テーパリングを行うかどうかは特に言わなくても問題はなく、むしろ言わずに行っているという見方もなされています。それは国債をはじめ、上場投資信託(ETF)の買い入れ額が減っていることからも言えます。

 

ETFの買い入れは2019年を境に減り続けていると言われ、少なくともETFのテーパリングはある程度進み、それでいて市場は過敏な反応は見せていません。一方でETFの買い入れを取りやめるなどの発表は現状では一切されていません。専門家は知っていても、一般の方はあまり知らないという状況にあります。

ステルステーパリング

堂々と行うテーパリングとは対照的に、ひそかに行うことをステルステーパリングと言います。国債の買い入れを通じて資金供給を行う中、2016年に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」をスタートさせたことで買い入れ額は減っていると言われています。

 

ステルステーパリングのメリットは影響を与えにくいことや有事の際に動ける点です。2022年には突如国債の買い入れ額を増やしています。この点からも日本はテーパリングのフェーズに入っていることは明らかです。

テーパリングをすぐ行わないといけない理由

世界各国では量的金融緩和を行ったらしばらくしてテーパリングを行い、場合によっては急いでテーパリングを終わらせようとします。日本のように全く急がずに行っている国はあまりありません。テーパリングをすぐ行わないといけない理由は何なのか解説します。

テーパリングは本来時間がかかる

量的金融緩和を始めるのはとても簡単で、とにかく金融機関に資金をどんどん注入していけばいいだけです。しかし終わらせるのがかなり難しく、経済に影響を与えないためにはゆっくりと行う必要があるのです。

 

コロナ禍で不況になったアメリカの場合、テーパリングとしておよそ8か月の時間を想定していましたが、結局前倒しもあり、半年程度でテーパリングを終わらせました。量的金融緩和を行った時期が短かったためです。

 

ところが日本は長らく量的金融緩和を行ったために同じようなスピード感でテーパリングを行えばかなりの影響が想定されます。時間がかかるものだからこそ、すぐさま始めなければならないのです。

ETFの場合は100年以上かかる可能性も

現在日銀で総裁を務める植田和男氏はこれまでのETFの買い入れに対して、「どうしていくかは大問題」という言葉を残しています。2023年の時点で50兆円以上あるETFはいずれ売却しなければなりませんが、一気に売れば市場はかなりの大混乱となります。

 

買い入れ額こそ減らしているものの、本当にやるべきことはETFの売却にあります。しかし、大々的にやれば悪影響は必至なので、少しずつやっていくとなると5000億円ずつの売却でも100年はかかるでしょう。入口は大きかったものの出口は小さい、それが量的金融緩和であり、いかに小さな出口から出るか、それがテーパリングです。

 

しかも世界恐慌にでもなれば日銀が持つ株は含み損を持ちやすく、大変な事態になる恐れもあります。それを避けるためにもテーパリングは必要と言えます。

大事なのはテーパリング終わりの政策金利引き上げ

テーパリングをゆっくりと行えば株への影響は少ないと言えます。そしてゆっくりと株を売却していっても過度な騒ぎにはなりくいと言えるでしょう。一方で、テーパリングと政策金利の引き上げはセットになりやすいことはアメリカの動きを見ても明らかです。

 

つまり、テーパリングを行うことはいずれ政策金利が上がることを意味し、政策金利の影響を受けやすい業界に悪影響を及ぼす可能性があると言えます。住宅ローンを変動金利で借りている方はモロに影響を受けるため、注意が必要です。

 

変動金利は政策金利に連動するため、テーパリング後の政策金利上昇の影響は必ずあります。固定金利への変更などやるべきことをやらないと、後々に大変な状況を招きかねません。

まとめ

テーパリングは確かに必要なことではありますが、より慎重にやらなければ経済に大打撃を与えます。だからこそ、慎重に検討されており、ステルステーパリングによってじわじわと行うことになると言えます。

 

これから住宅ローンを組んで購入される方は金利上昇を考慮し、固定金利で今のうちにローンを組むことで利払いに余計な資産を使う状態を避けられるでしょう。テーパリングの動向を見守ることは私たちの生活に重要な意味があるのです。

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