皆さんはナスダックをご存じですか?ナスダックはアメリカの株式市場の1つであり、私たち日本にも大きな影響を与えるものです。ナスダックにはどんな意味があり、影響力を持つのか知っておくべきところです。
本記事ではナスダックに着目し、ナスダックとダウなどとの違いや今後の見通しをご紹介していきます。
ナスダックとは?
ナスダックにはどのような意味があるのか、ナスダックに関する基本的な情報を最初にご紹介します。
ナスダックの意味
ナスダック(NASDAQ)の正式名称は「National Association of Securities Dealers Automated Quotations」で、この頭文字をとり、ナスダックと呼ばれています。National Association of Securities Dealers、全米証券業者協会がコンピューターを使って株式の売買を行うシステムを指します。
ナスダックの歴史
ナスダックは1971年にスタートし、iPhoneでおなじみのAppleやWindowsでおなじみのMicrosoftなどのIT系の会社が多く上場しており、ニューヨーク証券取引所と同じような取引規模を誇ります。
元々電子株式市場として世界初の試みでスタートし、コンピューターでの自動取引が行えるとあって、当時から話題を集めていました。
ナスダックに上場している日本企業
ナスダックには日本企業も多数上場しており、ここ1年でその数は一気に増えました。例えば、くら寿司の現地法人の会社は2019年にナスダックへの上場を果たしています。アメリカに参戦した日本企業がナスダックに上場する一方、なかなかアメリカで成功する企業も多くなく、上場後倒産に追い込まれた企業もいくつかあります。
IT系の企業などが多いだけでなく、実際にはくら寿司のような企業も参入できるのがナスダックです。あとはアメリカ市場で上場するかどうかというところになっていきます。
ナスダックの指数について
ナスダックの指数には2つの種類があります。1つはNASDAQ100指数、もう1つはNASDAQ総合指数です。この2つの違いについてご紹介します。
NASDAQ100指数
NASDAQ100指数はナスダックに上場している銘柄の中でトップ100を集めて算出された指数です。この指数は単に株価の平均で算出されるわけではなく、時価総額を加重平均することで算出されます。時価総額の加重平均は後程ご紹介するNASDAQ総合指数でも同じです。
NASDAQ総合指数
NASDAQ総合指数はナスダックに上場しているすべての銘柄を対象にした指数となっています。ナスダック全体の状況を判断するのに優れた指数です。先ほどと違うのはナスダックの中でも優秀な銘柄だけでなく、入ったばかりの銘柄などもあるので、若干不安定なところもあります。
ナスダックとダウやS&P500との違い
ナスダックとは別にダウやS&P500などの株価指数があります。これらの株価指数とナスダックにはどのような違いがあるのかをご紹介します。
ナスダックとダウの違い
ダウはダウ工業株30種平均と呼ばれており、その歴史は非常に古く、1896年からとなっています。NASDAQ100指数がナスダックのトップ100を集めた指数なのに対し、ダウの方はナスダックとニューヨーク証券取引所の中から選んだ30の銘柄で構成されています。
いわばダウの方がナスダックよりも厳選されており、選りすぐりの30銘柄となっています。私たちがニュースでよく聞くアメリカの株価指数は基本的にダウが多く、ダウの動向が注目されます。ダウの数値はリーマンショックで一時的に1万を割り込んだものの、それからは基本的に右肩上がりを続け、2023年の年末に史上最高値を更新し続けています。
ナスダックがここ1年で大きく下げてまだ戻し切れていないのとは対照的にダウは一時的に下げた時期こそあったものの、すぐに乗り越えて史上最高値をつけているのが特徴的です。
ナスダックとS&P500の違い
S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスがニューヨーク証券取引所とナスダックで上場している銘柄の中から500銘柄をピックアップして出される株価指数です。ちなみにS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはダウの数値も算出しています。
500銘柄とあって幅広く選んでいますが、この500銘柄でアメリカの株式市場の大半がカバーできます。そのため、S&P500がおおよそのアメリカの株式市場の状況を示すことになります。
S&P500に関してもリーマンショック以降に一時的に1000を割り込む時がありましたが、そこからは右肩上がりを見せ、2023年は史上最高値に迫る動きを見せています。この点ではナスダックと共通しています。
2001年の同時多発テロやリーマンショック、コロナショックなどで著しく下がる様子を見せるなど、アメリカの景気を判断する指標としてはうってつけです。
ナスダックと日本の関連性とは
ナスダックの動きは日本にどのような影響を与えるのか、ナスダックと日本の関連性についてご紹介します。
アメリカで上場する日本の起業家が増えている
近年日本の起業家たちは日本ではなくアメリカで上場を目指すケースが増えています。これは日本だと資金調達がなかなかうまくいかず、アメリカの方がうまくいきやすいという背景があります。特に新しいサービスだと日本では躊躇する動きが多い一方、アメリカは非常に寛容なため、アメリカの方が資金調達をしやすいことも挙げられます。
また起業家の話に熱心な人がアメリカに多く、結果的に日本で上場するよりもアメリカの方がチャンスは大きいと考える人もいます。つまり、ナスダックでの上場という選択肢は今後よりトレンドになる可能性が高いということです。
ナスダックの動きが日本にも影響する
日本の投資家は日経平均株価などに注目しますが、アメリカの投資家はナスダックをチェックする動きが強く、ナスダックなどの動きが順調であれば、その分日本の株価も支えてくれるという傾向にあります。
裏を返せば、ナスダックの動きが鈍れば日本にも影響を及ぼしやすくなるのです。いい意味でも悪い意味でも日本はナスダックの動きに敏感になりやすく、ナスダックで何か悪いことが起きれば日本でもすぐに悪影響が出ると言えるでしょう。ゆえにナスダックの動向は日本の投資家も注目すべきなのです。
ナスダックへの投資は日本でも可能なのか
ナスダックの銘柄を日本でも買いたい人はいるかもしれません。ここからはナスダックへの投資についてご紹介します。
ETFで投資を行う
ナスダックを利用したETFへの投資はすぐに行えます。最近話題の新NISAを活用しながら購入できます。ナスダックが好調ということもあり、そのリターンは非常に大きく、資産運用先としては優秀な数値を残すケースも見られます。
ナスダックの特定の銘柄を購入するとなるとかなり大変であり、しかも、よくわからないことがほとんどで、有名企業だけを買ってしまうことになりかねません。しかし、ETFという形で購入できればある程度のリスクヘッジをしながら運用されるため、安心して任せられると言えます。
ナスダックの今後の見通しについて
ナスダックは今後どのような動きを見せていくのか、今後の見通しについてご紹介します。
世界的な危機への対応次第
ナスダックは今に至るまで急激な成長を遂げており、ナスダック100で見ると、その指数はここ数年で急上昇しています。この15年で大きく下げたのはリーマンショック、コロナショック、そして、ウクライナ危機です。
特に大きく影響が出たのはウクライナ危機でした。リーマンショックやコロナショックはアメリカのFRBなどが経済政策を行うことでいくらでも立て直せるものでしたが、ウクライナ危機はウクライナとロシアが絡み、その影響が世界中に波及しています。アメリカだけでは対処できないからこそ、ピーク時と比べて一気に下がるような状況になったのです。
またアメリカの場合はイスラエルとパレスチナの問題も尾を引きやすいため、世界的な危機への対応次第で再び激しい値動きになる可能性も十分に考えられます。
インフレと金融政策の問題
アメリカではインフレが進行しており、金利をどんどん引き上げている状況です。2023年に入り、ようやく利上げが収まり、いつ利下げを行うかに注目が集まっています。金融を引き締めようとFRBが動けば、当然悪影響としてナスダックに影響を及ぼすでしょう。
一方で過度に経済を刺激したくないからとできる限りマイルドに政策を展開し、市場も織り込み済みな展開を見せればナスダックも過剰な反応を見せなくなります。このようにFRBなどの動き次第、そしてアメリカ大統領選挙の動きなど、様々な点に注目する必要があると言えるでしょう。
まとめ
ナスダックは投資をしていく上では重要な存在であり、完全に無視をすることはできない存在です。むしろナスダックの動き次第で日本にも重大な影響を与えるとあり、ナスダックの動向を見守る、もしくはナスダックの今後を予測することも大事な要素となります。
Amazonなど私たちがよく知る企業も入っているのがナスダックで、その点ではなじみやすい部分もあります。日本の起業家からすればナスダックはチャンスが詰まった場所でもあり、今後は日本企業がナスダックでどのような評価が下されているのかをチェックする場としても注目すべきところになりそうです。