元本とは?意味や読み方を簡単にわかりやすく解説|元金との違いや借金や利息との関係性、元本割れについて

 

 

元本という言葉を聞いたことがあるという方がほとんどではないでしょうか。元本は投資を行う上で重要な言葉であり、元本を多くしておくことは何事においてもプラスに働きやすいと言えます。

 

本記事では元本とは何かにスポットを当てるとともに、元本と元金の違いや借金・利息の関係性などもご紹介します。

目次

元本とは?

元本という言葉は聞いたことがあるけれどどういうものか説明できないという方もいるはずです。ここでは元本の意味や読み方など基本的な情報をまとめています。

元本の意味と読み方

元本は「がんぽん」と読みます。元本の意味は分かりやすく表現すると、収益を生み出す財産という意味です。株などの投資を行う際に元手になるお金という意味も込められ、「軍資金」と表現することもできます。

 

元本には種類があり、預貯金の場合には「預入元本」、投資を行う際には「購入元本」、投資信託における基準価額を「個別元本」と呼びます。

元本と元金の違い

ここからが元本と元金との違いについてご紹介します。

そもそも元金とは何か

そもそも元金は金融機関などから借りたお金を指します。元金を借りたら、丸々返すのはもちろんのこと、利息をつけて返すことになります。

 

借金の返済において元金と利息に分けられ、あまりにも元金が大きく、利率が高いと利息を返すだけで精いっぱいということがあります。この場合、利息の返済のみとなるので、本来返すべき元金は減っていません。そのため、いつまでたっても借金の返済が終わらない状態となります。

元本と元金、実は同じ?

元本と元金は実は同じ意味だと考えることができます。どちらもお金を預ける、お金を借りる場合にそれぞれ利子もしくは利息が生じます。利子や利息が生じるベースとなるお金が元本もしくは元金なので同じ意味と考えられます。

 

そのため、取引において元金も元本も同じ意味で用いられることがほとんどです。ただし、元本が使われることが多く、元金保証ではなく元本保証が用いられるようになり、定番なのは元本と考えるべきでしょう。借金する際に元金という言葉が出てきやすく、投資において元本が出てきやすいという捉え方もできます。

元本と借金・利息との関係性

元本と元金は同じような意味を持ちますが、ここでは元本と借金・利息との関係性についてご紹介します。

借金返済では元本ではなく利息が優先される

借金を返済する際、例えば100万円を借りていて5万円を返すとなると残りは95万円と考えがちです。しかし、実際は95万円にはなりません。100万円にかかる利息があるため、この利息を先に支払ってから、残った分で元本の返済に充てられます。

 

100万円を借りて毎月5万円ずつ返す場合、無利息であれば20か月で返済できますが、実際には利率によってそれ以上かかるのです。借金額が大きく、利率も高いと利息の返済すらままならない場合があります。必死に返済してもいつまでたっても終わらない、そんな地獄のようなことを繰り返していた方も少なくありません。

過払い金ブームと利息

2010年代、過払い金ブームが巻き起こっていたことを皆さんはご存じでしょうか?グレーゾーン金利が問題となり、最高裁でグレーゾーン金利が違法となったことで、グレーゾーン金利で貸し出されていた借金に関しては返金しなければならない事態となったのです。

 

利息のみの支払いをしていた方にも朗報で、実際には利息のみの支払いで元金返済につながっていなかったケースでもグレーゾーン金利の撤廃で元本返済につながるどころか、過払い金までもらえたのです。

 

地獄のような生活をし続けていた方からすれば一転してまとまったお金を手にできる機会に巡り合えた形です。

元本割れについて

 

投資を行う上で一番避けるべきは元本割れです。しかし、様々な投資において実は元本割れは意外と起こりやすいのが実情です。その理由をまとめました。

iDeCoも元本割れしやすい?

iDeCoと言えば確定拠出年金の1つで、国が利用を推し進めています。掛け金が所得控除になり、利益が出ても税金がかからない税金面でのプラスが大きく、利益を丸々確保できることもiDeCoの根強い人気につながっています。

 

そんなiDeCoですが、実は元本割れしやすいと言われているのです。その理由は手数料です。iDeCoには口座を管理する手数料や加入手数料があり、毎月の手数料に関しては10年20年、30年と払い続けることになります。100円違うだけで30年で3万6000円の違いになり、これが300円だと30年で10万円以上の違いになるのです。

 

iDeCoは60歳まで引き出せず、その間掛け金を払わない状態でも口座管理の手数料はかかり続けます。運用益が出ても手数料を差し引けば実はさほど残らず、元本割れをすることがあるのです。

投資信託は元本割れスタート

投資信託に関しても実は最初から元本割れからのスタートとなります。投資信託に関しても様々な手数料がかかるほか、信託報酬など色々なお金がかかるのです。しかも、購入した際の手数料は金融商品の中に含まれているため、その分で最初から損をしてしまいます。

 

当面は手数料分のマイナスを取り戻すことが求められます。投資信託の場合でも最初にマイナスからスタートしますが、毎年の運用の中でそのマイナスは次第に回収できる可能性が高まります。ですので、あくまでも最初だけ「元本割れ」をするものの目くじらを立てるほどではありません。

金融庁がまとめた元本割れの確率

金融庁では新NISAの説明など、NISAに関するガイドブックを作成し、NISAの紹介を行っています。その中で大変興味深いデータがありました。それは金融庁がまとめた元本割れの確率です。

5年では元本割れの可能性がある

金融庁では国内外の株式もしくは債券に対して同じ金額分だけ積み立て投資を行った際に、5年後にどうなるかという試算を行っています。すると10%以上の確率で元本割れを起こしていることが明らかとなりました。

 

最も低いケースでは100万円が74万円になっており、5年間で26%も財産を減らした結果になっています。一方、最も増えたケースでは100万円が176万円となり、5年間で76%増やしたという試算もあります。ちなみに0%からマイナス2%のケースは10%ほどあり、10人に1人は5年間で多少の損をしてしまうことが言えるのです。

20年の保有期間だと元本割れなし!

5年保有しただけではなかなかの確率で元本割れをしてしまう、これではNISAのキャンペーンにはなりません。金融庁はもう1つデータを残しています。それが保有期間20年の場合です。この場合、半分以上の確率で投資収益率は4~6%にまとまっています。

 

その結果、20年で最低でも186万円、最大で331万円になり、20年で財産を3倍以上に増やせるという試算が出ています。この時の元本割れの確率はゼロという結果が出ており、長期保有であれば元本割れの可能性はほとんどないことを示していると言えます。

 

このケースはあくまでも積み立て投資のケースで一定額を一定期間買い続けた結果によるものですが、5年ではなかなかの確率で元本割れをするものの、長期間であればその可能性はほとんどなくなることが言えます。参照:金融庁

元本にまつわる金融商品

元本は投資においては何事も重要であり、ギャンブルにおける軍資金もしくは種銭と表現することもできます。そんな元本にまつわる金融商品のタイプをご紹介します。

元本確保型

金融商品の中には「元本確保型」と呼ばれるものがあります。文字通り「元本は保証されている」商品ですが、実は解約のタイミング次第で元本割れを起こすケースがあります。基本的には元本は守られやすいものの、100%守られるわけではありません。

 

ただし、元本確保型は仮に経営破綻をした場合、預金であれば元本と利息分が保護の対象となるペイオフがあり、保険の場合は最低9割が保証され、残りは状況次第で返還額が変わる仕様になっています。

 

近年人気を集める積み立て型保険には、いつ解約しても100%以上の払い戻しが受け取れ、満期の場合には103%の受取額になるという保険があります。この元本確保型の保険は生命保険控除も利用できるため、節税をしながら貯金ができるという制度になっています。

同じ預金でも外貨では元本割れのリスクも

預貯金は基本的に元本保証型であり、1000万円以内であればペイオフ対象となるので経営破綻があっても全額保護されます。その一方、同じ預金でも外貨預金にしてしまうと実は元本割れのリスクが生じるのです。

 

外貨預金の場合はドルやユーロで積み立てていく場合、引き出すタイミングによっては為替レートによって損してしまうことがあります。外貨預金を始めた人はこの引き出しの際に元本割れを起こしやすく、レートに注意深く目を配らないといけません。

 

また外貨預金を円にする際、手数料がかかるというデメリットもあります。為替手数料が思ったほどかかるため、元本割れになってしまうのです。

 

何より為替による利益は雑所得の扱いとなり、場合によっては確定申告が必要となります。逆に損をしても確定申告で赤字分を所得から差し引けるため、元本割れのリスクがある一方、損をした場合に少しでも税金を下げる要因にもなるので、いずれにしても確定申告はするべきでしょう。

まとめ

元本割れを強く意識する方もいるでしょうが、金融庁の試算でも5年の保有では損をする可能性が20%近くあることが明らかになっています。逆に20年以上の保有では元本割れの可能性はほとんどないため、20年間は持ち続け、投資を行い続ける覚悟を持ちましょう。

 

一方、元本保証を意識しすぎれば元本を守ることばかりに目が向けられ、全く利益が生じないということも出てきます。元本割れには注意が必要ですが、意識しすぎないことも大切です。

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