公務員の副業はバレる?副業禁止の理由や注意点を解説|解禁された事例や可能な仕事範囲について

 

 

ニュースなどを見ていると、公務員が副業を行って処分されたというニュースが出てきます。このように公務員が副業を行うことは原則禁止です。しかし、原則禁止でありながら公務員が副業をしなければならない背景があるのです。

 

本記事では、公務員の副業にスポットを当て、副業をしなければならない背景や副業禁止の理由、もしも副業を行うとした場合の注意点などをまとめました。

目次

公務員の副業が禁止されている理由

そもそもなぜ公務員の副業が日本では禁止されているのか、その理由をご紹介します。

公務員に関する法律での取り決め

公務員には国家公務員と地方公務員の2種類に分かれ、いずれの公務員は国家公務員法や地方公務員法で色々なルールが決められています。このルールの中に副業に関するルールがあるのです。

 

実はいずれのルールにも「職務に専念する義務」というものがあります。早い話が公務員としての仕事に専念し、兼職などをするべきではないという内容です。法律の条文で定められている以上、副業をしてしまえば、「職務に専念する義務」の違反となります。

公務員の三大原則

公務員には三大原則があることを皆さんはご存じですか?先ほどご紹介した「職務に専念する義務」のほかにも、「信用失墜行為の禁止」・「秘密を守る義務」が存在し、この3つが三大原則です。

 

信用失墜行為の禁止とは、国民ないし市民からの公務員に対する信用を失うようなことをしてはいけないというものです。警察官が不祥事を起こすと、当該警察官や警察署だけでなく警察全体を主語にして、「だから警察はダメだ」と言われがちで、これが信用失墜行為となります。

 

秘密を守る行為は、公務員としての仕事で知った情報に関して、外部に漏らすのはダメというものです。例えば、公務員だからこそ得られた情報を副業に活用することは言語道断と言えます。こうした原則も相まって、公務員は副業が禁止されているのです。

公務員が副業をしなければならない背景

公務員の副業が禁止されていることは明らかですが、それでも公務員が副業せざるを得ない背景が存在します。その背景を解説します。

給料が少ない

公務員が副業をする最大の理由は、給料が少ないことです。公務員に対する目線は年々厳しく、少しでも給料を上げれば税金泥棒のように思われやすく、定時で帰れる機会が多い中で一定の給料が得られることに対する、市民の僻みもあります。そのため、公務員の給料は民間と比べて特段多いわけではありません

 

民間企業では副業を推進しており、給料を上げられないので、自分の手で収入を増やしてほしいという形で副業を認めるケースが増えています。物価高に追いつくような賃金アップは民間企業でもなかなか大変な中、公務員でそれを期待するのは酷です。公務員にも生活があり、家族を養う必要があるため、副業を行わざるを得なくなります。

地域活性化

副業に乗り出す人の中には、営利目的よりも地域活性化をメインに考えている公務員もいます。地域の経済を盛り上げていき、産業を守っていくことを考えた際、自治体職員としてやれることは限られます。自らが会社を立ち上げて、地域のためにひと肌脱ぐ形で結果として副業につながることがあります。

 

その割合は決して多くはありませんが、副業で儲けることよりも地域のために尽くしたい思いで取り組んでいることが目立つのが特徴的です。

公務員が副業を行っても許されるケース

公務員の副業は原則禁止ですが、実は例外も存在します。公務員が副業を行っても許されるケースについて解説します。

上長の許可があれば問題なし

公務員の副業は、上長の許可さえ下りれば基本的には認められます。例えば、公益性がある内容で講演を行う場合、事前に許可を得ていれば、講演を通じて得た収入を受け取ることは可能です。また、ブログでアフィリエイトを得る場合も、許可があれば受け取れます。ただし、許可がスムーズに出るかどうかはケースバイケースです。

 

実際に副業を行う際には「自営兼業承認申請書」の提出が求められます。自営兼業承認申請書を提出し、内容を吟味した上で許可・不許可が決まります。許可不許可を分けるのは、利害関係の有無と公務員としての職務を全うできるかどうかなどです。

実は許可がなくてもできる副業は多い

公務員が副業を行うのは原則禁止とされていますが、実は許可がなくてもできる副業は一定数存在しています。例えば、不動産投資を副業にした場合、一定の規模を下回るものであれば許可がなくても認められます。物件の数が数えるほどしかなければ、特別な許可はいらないとされています。

 

また、農業に関してもやはり一定の規模より小さければ許可の必要がありません。農業でがっぽりと稼ぐようなケースは許可が必要ですが、そうでなければわざわざ言わなくても問題はないのです。

公務員の副業が解禁された事例

ここからは公務員の副業が解禁された事例について解説していきます。

和歌山県すさみ町の場合

和歌山県すさみ町では、2023年度から町職員の副業を認めるようになりました。すさみ町では主に12項目を対象とし、該当する項目に関する副業を認め、利害関係の有無などを確認し、問題なしと判断されれば副業を認めるというものです。

 

勤務外で副業を行うことや週8時間・月30時間以下などのルールがありますが、細かなルールはケースバイケースとなります。若い世代が多く、副業を通じてすさみ町より外に出てもらってコミュニティを拡大してもらう狙いが含まれているのです。

福井県の場合

福井県では2019年から県職員の兼業や副業に関して解禁しました。対象となるのは1年以上働いている一般職で、公益性の高い事業を対象としています。勤務時間などはすさみ町とほぼ同じで、勤務日に関しては3時間以下というルールがあります。

 

また、副業や兼業に関しては、毎年度ごとに活動実績を報告する必要があるなど、公益性の高い事業を本当に行ったかどうかが判断される仕組みです。「現場で輝け! 福井県地域ビジネス兼業促進制度」という制度で、他の自治体への波及も期待されています。

北海道浜中町の場合

北海道にある浜中町では、地域貢献への参加や地場産業への理解、町民との交流などを名目とした副業を解禁しています。副業の対象となるものは教育や芸術、文化などの発展や活性化につながる活動などで、例えば、人手の足りない漁師の手伝いをするために土日だけ稼働するという形でも何ら問題はありません。

 

浜中町に関しても、あくまでも副業は地域貢献に限定しており、副業であればどんなことをしてもいいというわけではないのがポイントです。

公務員が副業を行う際の注意点

公務員が副業を行う際の注意点について解説をしていきます。

三大原則に反する副業はダメ

自治体が副業を認めるケースのほとんどは公益性や地域貢献などを配慮したものに特化しており、どんな副業も認めてくれるわけではありません。公務員が副業を行って発覚したケースには、風俗店で働いた公務員のケースが見受けられます。

 

例えば、地方の市町村で働いていた女性は風俗店で勤務し、公務員の年収以上の収入を得ていたことが発覚し、停職処分ののちに退職しています。風俗店で働くことでの副業は公務員の信用失墜行為につながりかねず、三大原則に違反していると言えるでしょう。三大原則に反する副業はしないことが大前提となります。

業務に支障をきたすレベルもダメ

業務に支障をきたすような副業も、三大原則の1つである「職務専念義務」に違反する形となります。先ほどの事例では月30時間以下・週8時間以下、勤務日は3時間以下といったルールがありましたが、これは人事院が定めたガイドラインに基づいたものです。つまり、上記の時間が、公務員の副業を行うルールとなります。

 

例えば、午後6時に仕事が終わって、すぐに副業を始めたとしても午後9時までに終わらなければならないほか、日付が変わるような時間まで働くことは認められていません。このあたりのルールを厳格に守らないと、副業を一切認めてもらえない可能性が出てくるため、注意が必要です。

発覚すれば懲戒免職もしくは依願退職の可能性が大きい

公務員の副業が発覚した場合、基本的には何らかの処罰が下されます。最悪の場合は懲戒免職もしくは諭旨免職ですが、停職や減給にとどまるケースも少なくありません。しかし、停職や減給にとどまっても、そのまま公務員として働き続けられるかは極めて微妙です。

 

少なくとも副業が発覚してニュースに取り上げられたケースでは、多くのケースで依願退職を余儀なくされています。例えば、都内の税務署で働いていた3人の女性が風俗店などで働いたことが発覚し、それぞれ停職の処分を受けました。そして、処分が出た日に3人の女性はいずれも退職しています。

 

バレなければ大丈夫…という気持ちで始めた副業が発覚したら、公務員を辞めざるを得なくなる可能性が出てくるため、その点の覚悟は必要です。

将来的に公務員の副業は全面的に解禁されるべきか

公務員の副業を全面的に解禁すべきという声は日に日に高まっています。しかし、副業が発覚するケースの中には風俗店での勤務など、公務員の副業として適切とは言えないものも存在します。これらをすべて認めるのか、はたまた三大原則に反するような副業すらも認めるのかの議論はしなければなりません。

 

現状では公務員の副業が全面的に解禁される可能性は低く、公益性が高く、三大原則の範囲内、報酬もさほど大きくはないレベルにとどまった副業が解禁されていく可能性が高いと言えます。副業の解禁は必要ですが、いきなりすべて解禁することは避けた方がいいでしょう。

まとめ

公務員はそう簡単にベースアップが期待できる仕事ではなく、バブルの時期は世間が浮かれていた中で、給料が一気に上がるわけではなかったために地に足のついた生活を余儀なくされていました。物価高などもあり、民間企業はベースアップが期待されやすい一方、公務員は給料の引き下げを求められるなど、苦しい状況です。

 

給料の引き下げと副業の解禁はワンセットの可能性が高く、その点の議論が今後行われることが想定されます。

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