ホールディングスとは?意味や略について簡単にわかりやすく解説|メリットや事例、親会社グループとの違い

 

 

ここ20年で、「○○ホールディングス」などホールディングスと名が付いた会社が増えてきました。ホールディングスは「持ち株会社」のことを意味しており、諸外国では当たり前でしたが、日本ではここ20年で一気に普及した形態です。

 

本記事ではホールディングス全般に関する内容をまとめ、ホールディングスをわかりやすく解説していきます。

 

目次

ホールディングスとは?

ホールディングスは持ち株会社であると冒頭でご紹介しました。そもそも持ち株会社とは何か、ホールディングスの意味とは何か、最初にご紹介していきます。

ホールディングスの意味とは

ホールディングスは「holdings」と書きますが、元々は「holding」という名刺の複数形です。holdingには農業用の借地やバスケットボールのホールディングなどの意味合いもありますが、その中には保有資産や不動産、そして会社や企業という意味合いもあります。

ホールディングスの略について

ホールディングスを短く略したい場合には、大に2つの略し方があります。1つは「HD」、もう1つは「HLDGS」です。いずれも英語の「holdings」を分かりやすくした形になっていますが、この略称は日本ならではの略称です。

 

例えば世界的に有名な金融持ち株会社であるHSBCホールディングスは、「HSBC Holdings plc」と表記され、英語表記においては日本企業も「holdings」部分を略さないケースがほとんどです。日本語で表記すると「ホールディングス」と8文字が必要なため、HDなどで短くすることができます。

日本におけるホールディングスの歴史

海外では当たり前なホールディングスですが、実は日本でホールディングスが始まったのは1997年からで、それまではホールディングス、いわゆる持ち株会社は禁止されていました。

財閥が持ち株会社のようなものだった

日本で持ち株会社が禁止された最大の要因は、第二次世界大戦で日本が敗れた際に財閥解体の憂き目に遭ったからです。当時の日本は複数の財閥がたくさんの関連企業を作って、独占状態を作り出していました。

 

このため、財閥解体を行い、財閥を作り出さないよう、持ち株会社の設立禁止が独占禁止法で定められたのです。その後、状況は変化し、諸外国では当たり前な持ち株会社を日本でも行うべきという声や、当時日本は金融政策で後れをとり、改革の必要性を問う声が多く出ていました。いわゆる「金融ビックバン」の1つとして持ち株会社解禁が始まったのです。

ホールディングスの種類

ホールディングスには実は種類があることを皆さんはご存じでしたでしょうか?ホールディングスには「事業持株会社」、「純粋持株会社」、「中間持株会社」の3種類があります。ここではそれぞれの持ち株会社についてご紹介します。

事業持株会社

事業持株会社とは、株を保有して子会社を束ねるほか、自らも事業を展開している持ち株会社を指します。事業持株会社となっているホールディングスの例では、JTBやコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス、東急などが該当します。

純粋持株会社

純粋持株会社は事業持株会社と異なり、グループ会社の株式を所有し、子会社を束ねるだけの目的で設置された持ち株会社です。純粋持株会社は子会社からの配当が売上の原資となります。また「持ち株会社」と称する場合、基本的には純粋持株会社を示します。このため、多くのホールディングスは純粋持株会社となります。

中間持株会社

一方、中間持株会社ですが、子会社的なポジションでありながら持ち株会社的な性質を持って複数の会社を束ねる会社です。大企業で、多くの子会社を抱えると何かと管理が難しくなります。そこで、子会社を束ねる形で権限を与えていくことで管理がしやすくなるのが狙いです。

 

しかしながら、規模が小さいところでは逆に中間持株会社を作ることで組織が見えにくくなるケースがあるほか、全てを束ねる親会社、中間に位置する中間持株会社が異なることを言った場合にどうすればいいかというケースもあることから、中間持株会社はある程度の規模でないと効果を発揮しません。

ホールディングスの作り方

実際にホールディングスを作るには3つの方法があります。1つは「株式移転方式」、2つ目は「会社分割方式」、最後が「抜け殻方式」です。この3つの方法についてご紹介します。

株式移転方式

株式移転方式は、今ある会社が新しく親会社を作る場合に用いられる方式です。親会社の上に持ち株会社を設置する形となり、持ち株会社の100%子会社が親会社となり、親会社の株式を持つ株主たちはそのまま持ち株会社の株を受け取ることができます。

 

結果的には株式の譲渡となりますが、ホールディングスを立ち上げるために株式の譲渡が用いられたケースでは課税の対象外とされるため、課税されることなく持ち株会社が作れます。

会社分割方式

会社分割方式は、特定の事業を切り離して子会社化する際などに用いられる方法です。既存の会社で行われていた事業を会社として独立させ、既存の会社が持ち株会社のような状態となります。

 

分割にも吸収分割と新設分割の2つがあり、吸収分割は今ある子会社へ事業承継を行う形で譲渡を行い、新設分割は新たに会社を立ち上げて事業承継を行う形となります。

抜け殻方式

抜け殻方式は親会社が持つ事業などを子会社に事業承継させた上で親会社そのものが純粋持株会社になってホールディングスとなるものです。純粋持株会社になる場合に行われやすい手法であり、事業すべてを承継させるため、承継後の親会社がまるで抜け殻のような状態になることからつけられました。

ホールディングスにするメリット

ここからはホールディングスにするメリットについてご紹介していきます。多くのメリットがある中でもその中でも効果の高いメリットをまとめました。

経営の効率化

1つ目のメリットは経営の効率化です。

 

持ち株会社にすることで、親会社がグループ全体の方針を定める形となり、子会社はその方針に従うことになります。子会社は親会社に従う形で経営を行っていけばいいので、経営に専念できるのが経営の効率化につながると言えます。

経営リスクの分散

2つ目のメリットは、経営リスクを分散させることです。

 

ホールディングスはたくさんの企業が参加しているようなものなので、1つ1つの企業が独立した存在になっています。万が一1つの参加企業が何かしらの問題を起こしても、親会社までその責任が及ぶことがありません。そのため、たくさんの事業を子会社化させた方が経営リスクを分散させられ、資本関係さえ結んでおけばリスクだけを分散させられます。

事業承継のしやすさ

3つ目のメリットは、事業承継のしやすさです。

 

中小企業もホールディングスにすることができます。中小企業が持ち株会社になる最大のメリットは事業承継のしやすさです。株式を移転させる形で持ち株会社を作り上げた際、この時の株式は相続の対象外となります。

 

事業承継での株式の取り扱いは相続をするにあたって経営者やその家族の誰しもが頭を悩ませる部分です。しかも、特定の人物に株式を集中させることは、相続の際の遺留分の取り扱いなど別のトラブルを誘発します。持ち株会社にすればその心配がなくなる点で、中小企業の事業承継こそホールディングスで行う形が有力です。

ホールディングスの事例

日本では今も持ち株会社への移行が見られ、その多くは経営資源の有効活用や企業買収によるものです。特に新型コロナウイルスの時代においてより経営基盤をしっかりしたい企業がホールディングス化を目指しました。

 

中小企業でホールディングス化を目指すケースのほとんどは親から子への事業承継を円滑に行うためです。ある中小企業では、子どもがまだ未成年の段階から事業承継を目指し、その一環としてホールディングス化を行いました。

 

主力となる事業を子会社が担い、今までの親会社は純粋持ち株会社となり、子会社の配当を売上の原資とする形にしました。これにより、子どもたちは安定した収入源を確保できるようになり、スムーズな事業承継につなげられます。ホールディングス化は決して大企業だけの問題ではありません。

ホールディングスと親会社グループとの違い

ホールディングスと似たようなものに親会社グループがあります。意味合いはどちらも同じですが、似て非なるものと言えるでしょう。

 

親会社グループは資本関係のある会社同士の集まりという意味だけですが、ホールディングスは子会社と連携するために株式を持った親会社であり、子会社を統制するために存在する会社と言えます。

 

グループとホールディングスは似たようなものですが、資本関係がそれぞれにあれば、親会社に該当する会社が持株会社となります。そして、親会社から子会社、子会社から孫会社、ひ孫会社と親会社にぶら下がるすべての企業がグループになるのです。

まとめ

ホールディングスとは何かについてご紹介してきました。

 

ホールディングスは1997年に解禁されてまだ30年も経過しておらず、多くの人にとってまだまだなじみが薄いものですが、国際基準で考えればホールディングスは当たり前のことです。財閥などを意識することから持ち株会社は今まで禁止されてきましたが、時代は大きく変わっています。

 

ホールディングスにすることは中小企業にとっても全く無関係ではなく、相続などを考えた際にはホールディングスを目指すことはとても重要です。ホールディングスが持つメリットを上手く活用し、スムーズな事業承継を目指す際には欠かせないポイントとなります。

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