「不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングにはどのような違いがある?」
このような疑問にお答えします。
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングはどちらもクラウドファンディングの一種ですが、具体的にどのような点で異なるのか気になる方も多いでしょう。
本記事では、不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違いを解説します。
また、それぞれの共通点やメリット・デメリットも紹介するため、クラウドファンディングに関心のある方はぜひご覧ください。
不動産クラウドファンディングとは
不動産クラウドファンディングとは、投資家が出資したお金を使用して事業者が投資用の不動産を購入し、賃貸収入や不動産の売却益の一部を投資家に分配する仕組みです。
出資金をすべて不動産事業に使うため、高い収益が期待できますが、運用結果が出るまで時間がかかる点に注意が必要です。
不動産クラウドファンディングでは建物の管理や維持、トラブル対応などはすべて事業者が対応するため、ほったらかし投資ができます。
ここからは、不動産クラウドファンディングのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
不動産クラウドファンディングのメリット
不動産クラウドファンディングには、以下のようなメリットがあります。
- 投資先を詳しく知れる
- 匿名組合型の場合、優先劣後方式によって損失が保護される
- 任意組合型の場合、相続税・贈与税の節税ができる
それぞれのメリットを解説するため、不動産クラウドファンディングに関心のある方は必見です。
投資先を詳しく知れる
不動産クラウドファンディングで投資する際は情報開示が行われ、投資先について以下のような情報を詳しく知ることができます。
- 投資先の企業の業績
- 事業の継続年数
- 物件の所在地
- 広さ
- 築年数
- 管理状況
投資先や投資物件について不透明な部分が少なく、複数の案件を比較検討することで好条件のものを選べるため、納得したうえで投資ができます。
匿名組合型の場合、優先劣後方式によって損失が保護される
不動産クラウドファンディングは匿名組合型の契約形態が多く、優先劣後方式があることで元本割れのリスクを最小限に抑えることが可能です。
匿名組合型とは、投資家と事業者が匿名組合契約を締結し、資金の出資と利益の配分を約束する契約形態です。
また、匿名組合型では優先劣後方式が導入されており、投資家が「優先出資者」、事業者が「劣後出資者」に区分され、優先劣後割合に応じて元本割れのリスクの負担を投資家と事業者で分担します。
たとえば、優先劣後割合が70%の場合、損失が70%の範囲内までは劣後出資者のみが損をし、優先出資者の元本は毀損しません。
劣後割合が高ければ投資の安全性も高まるため、元本割れのリスク軽減につながるでしょう。
任意組合型の場合、節税ができる
不動産クラウドファンディングには任意組合型と呼ばれる契約形態もあり、節税できる点が大きな特徴です。
任意組合型とは、投資家と事業者が任意組合契約を結び、不動産を共同で所有する契約形態です。
任意組合型では修繕や復旧、清掃やメンテナンスにかかる費用を経費にできます。
また、不動産収入から経費を差し引くことで課税標準が低くなり、所得税や住民税を安くできます。
ただし、任意組合型は運用スタイルが現物不動産投資と近く、運用で損失が発生すると事業者と共に負債を負うリスクもあるため注意が必要です。
不動産クラウドファンディングのデメリット
不動産クラウドファンディングには以下のようなデメリットもあります。
- 投資先が不動産に限定される
- 不動産投資のリスクをそのまま享受する必要がある
それぞれのデメリットを押さえ、不動産クラウドファンディングを利用するべきか再検討してみてください。
投資先が不動産に限定される
不動産クラウドファンディングでは出資金は不動産の購入のみに使用され、それ以外の用途はありません。
そのため、不動産以外のさまざまな案件に投資して分散投資を行いたい方は、ソーシャルレンディングを利用する方が良いでしょう。
不動産投資のリスクをそのまま享受する必要がある
不動産クラウドファンディングで発生するリスクは現物の不動産投資と共通しており、プロジェクトの運用結果によって収益が少なくなることもあるため、注意が必要です。
不動産クラウドファンディングで発生するリスクは多く、以下の表にまとめました。
リスク名 | リスクの詳細 | 対策法 |
---|---|---|
空室リスク | マンションなどの共同住宅の空室が多い | 入居者募集活動を積極的にする |
修繕リスク | 不動産を修繕するのに多額の費用がかかる | 事前にいくらかかるかシミュレーションしておく |
金利上昇リスク | 変動金利の住宅ローンの金利が上昇し、返済に負担がかかる |
|
家賃滞納リスク | 入居者が家賃を滞納する |
|
自然災害リスク | 火事や地震などの災害に遭い、不動産が焼失・損壊を受ける | 火災・地震保険に加入する |
家賃下落リスク | 周辺の家賃相場が下がり、入居者確保のため対象不動産を家賃を下げる必要がある | 賃貸需要の高い地域を選択する |
不動産価値の変動リスク | 対象不動産の価値が上昇・下落し、売却益が少なくなる | 周辺環境やリセールバリューをリサーチしておく |
不動産クラウドファンディングで損失を抑えるには事業者が対処法を実践している必要があるため、案件選びでは事業者の実績や安全性を確認しましょう。
また、匿名組合型の不動産クラウドファンディングサービスを利用し、優先劣後割合が高い案件に投資してリスクを下げることも効果的です。
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは、お金を貸したい投資家とお金を借りたい企業を結びつけるサービスで、「融資型クラウドファンディング」や「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれています。
また、ファンドを通じて複数の投資家から集めた資金を企業に融資し、融資金は企業のプロジェクトに運用され、運用期間終了後に元本と利息が投資家に償還されます。
ここからは、ソーシャルレンディングのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
ソーシャルレンディングのメリット
ソーシャルレンディングには、以下のようなメリットがあります。
- さまざまなファンドに投資できる
- 担保・保証付の案件がある
それぞれのメリットをピックアップするため、ソーシャルレンディングに興味のある方はぜひご覧ください。
さまざまなファンドに投資できる
ソーシャルレンディングで投資できるファンドは、以下のようにさまざまな種類があります。
- ローンファンド
- 金融事業者支援ファンド
- 軍用地担保ファンド
- 船舶ファンド
そのため、不動産クラウドファンディングのように投資先が不動産にこだわらない方や、さまざまな案件に投資したい方に、ソーシャルレンディングはおすすめです。
担保・保証付の案件がある
ソーシャルレンディングには担保・保証付の案件もあり、元本割れや貸し倒れのリスクを最小限に押さえられます。
担保付の案件であれば、企業が経営破綻または倒産して貸付金が返済不能になっても、担保を売却することで貸付金を回収できます。
また、保証付の場合は、保証会社が返済金を肩代わりしてくれるため、安心して自身の資金を預けられます。
ソーシャルレンディングのデメリット
ソーシャルレンディングには以下のようなデメリットもあるため、注意が必要です。
- 融資先の情報が分からないことが多い
- 新興市場で不透明な要素が多い
それぞれのデメリットを押さえ、ソーシャルレンディングを利用するべきか再検討してみてください。
融資先の情報が分からないことが多い
ソーシャルレンディングのファンドには以下のような情報は記載されていますが、融資先企業の情報が公開されていないことが多い点で不便です。
- ファンド名
- 利回り
- 最低投資金額
- 募集総額
- 運用期間
ソーシャルレンディングは金銭貸借を行うため、融資先企業の情報を知るには投資家が貸金業の登録免許を取得する必要があり、非効率です。
そのため、法律違反にならないよう融資先企業の情報を秘匿して資金を募っています。
つまり、ソーシャルレンディングで投資を行う際は、リスク評価が正確にできない可能性がある点に注意が必要です。
新興市場で不透明な要素が多い
ソーシャルレンディングは比較的新しいサービスであり、規制が十分整っていないため不透明な要素が多くあります。
そのため、信用度の低いサービスを利用すると情報漏洩やなりすまし、ワンクリック詐欺や不正出金などの被害に遭いやすいため要注意です。
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違い
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違いを、以下の表にまとめました。
不動産クラウドファンディング | ソーシャルレンディング | |
---|---|---|
資金の提供先 | 不動産事業者 | さまざまな業種の企業 |
資金の使い道 | 不動産の購入や運営、管理 | 企業のプロジェクトの運営、管理 |
配当金の種類 | 賃料収入 不動産売却益 |
利息 |
優先劣後方式の有無 | 有 | 無 |
適用される法律 | 不動産特定共同事業法(不特法) | 貸金業法 |
資金提供先の情報開示の可否 | 可能 | 不可能 |
それぞれの違いを詳しく解説するため、自身に合ったクラウドファンディングサービスを選び、投資を行ってみましょう。
資金の提供先の違い
不動産クラウドファンディングの場合、資金の提供先は不動産事業者に限定されています。
一方、ソーシャルレンディングでは資金の提供先は不動産事業者に限らず、融資を募ってプロジェクトを運用したいと考えている企業全般を指します。
資金の使い道
不動産クラウドファンディングでは、投資金は不動産の購入や運営、管理業務に使用されます。
一方、ソーシャルレンディングで融資したお金は融資先企業のプロジェクトの運用に使用され、不動産事業に限定されません。
配当金の違い
不動産クラウドファンディングは投資であり、賃料収入や不動産の売却益の一部が投資家に還元されます。
一方、ソーシャルレンディングは金銭貸借に該当するため、運用終了後に配当金として利息を受け取れます。
優先劣後方式の有無の違い
優先劣後方式とは、投資家と事業者が共同出資を行い、割合に応じて損失を分担する不動産クラウドファンディング特有の仕組みを指します。
たとえば、優先劣後割合が60%の不動産ファンドの場合、60%の範囲内までは事業者が損失を補填してくれるため、ローリスクであると言えます。
一方、ソーシャルレンディングには優先劣後方式はなく、元本割れが起きても自己責任です。
そのため、リスクヘッジを行うには、元本割れ件数が少ないサービスを利用し、ファンドの利回りや運用期間をしっかり確認する必要があります。
適用される法律の違い
不動産クラウドファンディングでは不動産特定共同事業法(不特法)が適用され、投資家からの出資金を基に不動産事業を運用し、運用収益の一部を投資家に分配することを定めています。
一方、ソーシャルレンディングは貸金業法が適用され、カードローンの仕組みと同様に、元本償還時には利息を受け取れます。
提供先の情報開示の違い
不動産クラウドファンディングの場合、資金提供先の企業の情報が公開されます。
しかし、ソーシャルレンディングでは情報公開されず、ファンドの種類や利回りなどの数少ない情報のみで投資先を選択しなくてはなりません。
なお、ソーシャルレンディングで情報開示をするには、投資家が貸金業の登録免許を取る必要があり、資金提供するうえでは非効率かつ現実的ではありません。
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの共通点
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングには、以下の点で共通しています。
- 少額投資できる
- 運用の手間が少ない
- 手数料がほとんどかからない
- 値動きをチェックする必要はない
- 元本保証がない
- 資金提供先の変更や中途解約ができない
- 分配金は雑所得扱いになる
それぞれの共通点を知れば同時にクラウドファンディングのメリットも分かるため、ぜひご覧ください。
少額投資できる
クラウドファンディングは複数の投資家から集めた資金を大口資金に変えてファンドを組成するため、数万円という少額から投資を行えます。
そのため、投資初心者の方や貸し倒れリスクを最小限に抑えたい方に、不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングはおすすめです。
運用の手間が少ない
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングは両方とも事業の運営や管理は融資または投資先企業がすべて行い、投資家は関与しません。
そのため、どちらもほったらかし投資ができ、運用の手間が少なくなります。
手数料がほとんどかからない
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングでは、以下のような手数料がほとんど発生しない点も共通しています。
- 口座開設・維持手数料
- 入出金手数料
- 事務手数料
- 解約手数料
ただし、自身の口座からクラウドファンディング用の口座へ入金する際、銀行口座によってはATM手数料などがかかる場合があり、注意が必要です。
値動きをチェックする必要がない
FX・株式投資・仮想通貨などとは違い、基本的にクラウドファンディングでは価格変動が起きず、値動きを逐一確認する必要もありません。
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングでは、資金を投資したら運用期間が終了するまで待つのみです。
元本保証がない
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングはどちらも元本が保証されておらず、運用結果によって元本割れが起きるリスクがあります。
リスクを最小限に押さえるには不動産クラウドファンディングの場合、匿名組合型の契約形態で優先劣後割合が高いファンドを選択するのがおすすめです。
また、ソーシャルレンディングでは元本割れ件数が0件に近いサービスを利用するのが良いでしょう。
資金提供先の変更や中途解約ができない
通常、クラウドファンディングでは一度融資または投資を行うと、案件を途中で変更したり解約したりはできません。
その代わり、運用期間が比較的短い案件を選べば、償還期間が短くなり貸し倒れのリスクを可能な限り下げられます。
収益が20万円超の場合は確定申告が必要
不動産クラウドファンディング(匿名組合型)とソーシャルレンディングは雑所得に分類され、所得が20万円を超えた場合、翌年の3月15日までに確定申告と納税を済ませる必要があります。
また、不動産クラウドファンディングで任意組合型の場合は不動産所得に分類され、収入から不動産事業でかかった経費を差し引いて節税できる点は異なります。
いずれにせよ、不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングはどちらも源泉徴収が行われない点に注意が必要です。
ソーシャルレンディングならLENDEXがおすすめ
ソーシャルレンディングのサービスなら、LENDEXがおすすめです。
LENDEXでは、専門知識のあるスタッフによる厳しい審査に通過した案件のみを取り扱っており、元本割れは一度も起こしていません。
また、以下のような点も特徴であり、収益性や安全性の高さが伺えます。
- 平均利回りが7.09%と業界高水準
- 2024年6月には累計運用総額が400億円を突破
- 担保や保証付きのローンファンドが多い
なお、口座開設や維持、出金の際に手数料がかからないため、費用を節約できます。
興味を持った方は、以下のリンクから口座開設をしてみてください。
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違いに関するよくある質問や疑問
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違いについての質問や疑問を、Q&A形式でお答えします。
クラウドファンディングで資金提供を行いたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの資金提供先の違いは?
不動産クラウドファンディングでは、不動産事業者に資金提供を行います。
一方、ソーシャルレンディングの資金提供先は不動産事業者に限定されず、エネルギーや船舶、企業再生など業種はさまざまです。
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの資金の使い道の違いは?
不動産クラウドファンディングの場合、主に不動産の購入や運営管理などに資金が使用されます。
一方、ソーシャルレンディングでは、融資先企業が運用するプロジェクト全般に資金が充当されます。
不動産のクラウドファンディングとは?
不動産クラウドファンディングは、投資家から集めた資金を不動産事業の運用に使用し、運用終了後に賃貸収入や不動産売却益の一部が投資家に還元されるサービスです。
契約形態には匿名組合型と任意組合型の2種類があり、匿名組合型では一定割合に応じて損失が保護され、任意組合型では収入から経費を差し引くことで節税が可能です。
ソーシャルレンディングとは?
ソーシャルレンディングは、プロジェクトの運用目的で投資家が企業に融資し、運用期間満了後は利息を受け取れるサービスです。
不動産担保付きローンファンドや事業者支援ファンドなど複数の種類があり、案件の種類は不動産事業に限定されません。
不動産クラウドファンディングは不動産投資の一種でソーシャルレンディングは貸付の一種
本記事では、不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違いを解説しました。
不動産クラウドファンディングは不動産投資の一種であり、資金は不動産事業の運営に使用され、運営結果に応じて賃料収入や不動産売却益の一部を投資家は受け取れます。
一方、ソーシャルレンディングは貸付の一種で、資金は融資先企業が運用するプロジェクトに使われ、運用終了後は元金に利息が付されて返還されます。
また、両方とも最低投資額が数万円と少額な点や、運用はすべて事業者が行うためほったらかし投資ができることなどが共通点です。
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