今回は、ソーシャルレンディングに係る税金のお話をさせていただきます。
日本国民の義務の一つに納税があることは皆様御存知ですよね。
ソーシャルレンディングで得た利益には所得には税金が課税されます。
1.ソーシャルレンディング所得は雑所得に該当する
所得には様々な種類のものがあります。
- 1. 利子所得
- 2. 配当所得
- 3. 不動産所得
- 4. 事業所得
- 5. 給与所得
- 6. 退職所得
- 7. 山林所得
- 8. 譲渡所得
- 9. 一時所得
- 10. 雑所得
お給料をもらっている人は、給与所得という所得をもらっています。
個人事業主として業務委託を行い報酬をもらっている方は事業所得を得ています。
その他にも不動産を運用して発生した所得は不動産所得になります。
ソーシャルレンディング所得は上記の中の雑所得という所得に分類されます。
配当所得ではない点にご注意ください。
また所得税の課税方式は総合課税方式と分離課税方式に分かれます。
ソーシャルレンディングが該当する雑所得は総合課税の対象です。
給与所得や不動産所得、雑所得などの数字を合算し、その最終的な所得額で税率が決まります。
その税率は以下のようになっています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
更にここに住民税の10%が課税されるので、最大税率は55%になります。
2.株式の売買による所得などは分離課税に該当する
一方で、すべての所得が総合課税ではありません。
給与所得と合算しない分離課税に該当する所得もあります。
詳しくはこちらに書いてあります。
参考:国税庁ホームページ
- (1) 利子所得に該当する利子等(総合課税又は申告分離課税の対象となるものを除く。)
- (2) 私募の特定目的信託のうち、社債的受益権の収益の分配に係る配当
- (3) 私募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る配当
- (4) 懸賞金付預貯金等の懸賞金等
- (5) 次の金融類似商品の補てん金等
- イ 定期積金の給付補てん金
- ロ 銀行法第2条第4項の契約に基づく給付補てん金
- ハ 一定の契約により支払われる抵当証券の利息
- ニ 貴金属などの売戻し条件付売買の利益
- ホ 外貨建預貯金で、その元本と利子をあらかじめ定められた利率により円又は他の外国通貨に換算して支払うこととされている一定の換算差益
- ヘ 一時払養老保険や一時払損害保険などの差益(保険や共済の期間が5年以下のもの、又は保険や共済の期間が5年を超えていてもその期間の初日から5年以内に解約したものの差益に限ります。)
(6) 一定の割引債の償還差益
少し分かりにくいですが、主な分離課税の対象は皆様に身近なものでいえば株やFX,投資信託などが当てはまります。
さらに分離課税は、確定申告の必要がある「申告分離課税」と確定申告の必要がない「源泉分離課税」に分けられています。
株式の場合、売却して得られた所得(譲渡所得)は証券会社に源泉分離課税として申告することで、自分に代わって証券会社が納税してくれます。
確定申告の手間を省けます。
そして分離課税の最大のメリットは、税率が一律で20.315%に決められている点です。
ソーシャルレンディングの所得に対する最大の税率は55%ですから、金額が大きくなると大変な差が出ますよね。
3.ソーシャルレンディング所得は源泉徴収された金額が振り込まれる
ソーシャルレンディングの自分の口座に定期的に配当金が振り込まれる時、「思ったより少ないな」と感じる人が多いのではないでしょうか。
ソーシャルレンディング会社では、お客様に振込を行う時に予め源泉徴収として20.42%の金額を徴収しています。
一方で先に示したように、総合課税の場合税率は所得の金額で変わります。
住民税の10%+330万円以下の所得の場合の所得税率10%=20%です。
一方で所得が195万円以下の場合の所得税率は5%ですから、本来の税率は15%ですよね。
給与所得や他の所得、ソーシャルレンディング所得を足して年間の所得が195万円以下の方は、確定申告を行えば収めすぎた税金から一部還付を受けられます。
ちなみに2020年の確定申告は通常の2月16日から3月15日ではなく、新型コロナウイルスの影響で外出が不可になった難しい方に限り無期限で確定申告可能です。
そのため今からでも確定申告を行えば、納めすぎていた源泉徴収分の還付を受けられます。
また総合課税の場合は
所得~195万円までが税率10%
所得195~330万円までが税率20%
分離課税は所得が少ない場合でも税率が20,315%です。
所得が195万円未満の場合は、実はソーシャルレンディングのほうが税率は低いです。
ソーシャルレンディングがすべてのケースにおいて、分離課税よりも税率が上回るわけではないことも知っておいてください。
また年間の雑所得が20万円までは非課税になります。
ソーシャルレンディングしか給与所得以外の所得がなく、ソーシャルレンディングの所得は20万円以下という場合も、確定申告を行えば源泉徴収の20.42%を還付してもらえますので、忘れないようにしてくださいね。
4.第二種金融商品協会では分離課税の導入に動いている
それでも、多くの方にとっては分離課税のほうが税率が低くなるケースが多いでしょう。
ソーシャルレンディングに投資し、所得を増やしていきたいという方にとってはソーシャルレンディングが分離課税対象になればいいのでは、と思うのが自然ですよね。
そこで、LENDEXが加入している第二種金融商品取引業協会では、金融庁に対しソーシャルレンディングの所得も今後分離課税の対象となるような働きかけを行っています。
FXも、日本で広まり始めた当初は分離課税が導入されていませんでした。
しかし、投資としての普及により2005年から申告分離課税が導入されるようになりました。
当社では、他のソーシャルレンディング会社様と共に働きかけを行うことにより、ソーシャルレンディングへの分離課税の導入を推し進めて行きたいと思います。