貸付金とは?利息の取扱いや勘定科目と仕訳方法について簡単にわかりやすく解説|立替金との違いについて

 

 

貸付金という言葉を聞いて皆さんは何を思い浮かべたでしょうか。単に借金というイメージで考えている方もいるかもしれません。貸付金は様々な意味合いで用いられるフレーズであり、一概に借金で片付けきれないものです。

 

この記事では貸付金とは何かを中心に、利息の扱いや勘定科目と仕訳方法などをご紹介していきます。

目次

貸付金とは?

貸付金とはどのようなものなのか、その詳細についてご紹介していきます。

他者へお金を貸し付ける金銭

 

貸付金は企業もしくは個人が別の企業や個人に貸し付ける金銭のことを言います。借金と違うのは、誰かからお金を借りるのが借金であり、貸付金は誰かにお金を貸す状態です。ですので、借金と異なることは明らかです。

 

貸付金が登場する場面は実に様々で、企業が事業拡大もしくは資金調達を目指す場合、またプロジェクトを立ち上げる際に資金不足に追い込まれた際に緊急で資金を要する場合などに用いられます。

個人レベルの貸付金

個人レベルで貸付金を考える際、まずは住宅ローンが挙げられます。住宅ローンは住宅購入を目的に銀行が個人に一定額を貸し付ける状況を言います。カードローンは消費者金融など金融機関が個人に貸し付けを行うサービスを指すなど、貸付金は実に様々な場面で用いられていることが言えるでしょう。

 

貸付金は返済期間の設定、利息率など色々な条件がつけられます。借金は良くないと誰しもが考えますが、住宅ローンを借金と捉え、全額キャッシュで住宅を購入しようとする人はあまり多くありません。貸付金は適切に利用すればプラスにつながることを、多くの人が理解しているからです。これは企業間の融資でも同じことが言えます。

貸付金の種類

貸付金には2つの種類があります。ここでは2つの種類の詳細についてご紹介していきます。

短期貸付金

短期貸付金は、返済までの期間が1年未満に設定された貸付金を指します。短期貸付金は流動資産の扱いとなり、いわゆる現金化しやすいお金という形です。

 

この場合の短期貸付金は貸し付けたタイミングから1年未満で返せば短期貸付金になるわけではなく、決算日を基準に1年未満に返済されれば短期貸付金の扱いとなります。

長期貸付金

短期貸付金とは違い、長期貸付金は決算日をベースにして返済まで1年以上かかってしまう貸付金を指します。長期貸付金は流動資産ではなく固定資産の扱いとなるため、現金化しにくいお金と言えます。

 

長期貸付金で着目すべきは引当金の存在です。引当金は事前に、返済されないリスクを見積もって計上を行い、資産から外すお金を指します。引当金によってせっかくの資産である貸付金が無きものと扱われるため、気を付けるべき部分です。

短期貸付金・長期貸付金それぞれのメリット

ここからは短期貸付金・長期貸付金それぞれのメリットについて解説していきます。

短期貸付金のメリット

短期貸付金のメリットは、金利の低さです。短期で返済されるため、返済されずに終わる可能性は低く、その分金利も低くなりやすいのが特徴的です。コストをかけずに資金調達を行い、返済のアテがある場合におすすめです。

 

また短期貸付金の性質上、運転資金に用いられやすく、返済のアテもある程度見つかりやすいため、短期貸付金の方が貸付の壁は低くなりやすい傾向にあります。計画が立てやすい分、思い切って貸付を行えるため、使い勝手の良さがメリットとなるでしょう。

長期貸付金のメリット

一方、長期貸付金のメリットは月々の支払いが少なくて済むことです。長期貸付金は1年を超える期間で返済すればいいので、相手によっては長いスパンで返済することが許されるケースがあります。すると、少しずつ返済しても何ら問題はなく、負担もかなり軽減されるでしょう。

 

それだけ長いスパンでの返済であれば、計画は立てやすく、返済を考慮した事業運営をせずに済みます。計画を立てやすいことは腰をじっくりと据えた経営につながりやすく、大きなメリットと言えるでしょう。

短期貸付金・長期貸付金それぞれのデメリット

短期貸付金・長期貸付金のメリットをそれぞれご紹介しましたので、次はそれぞれのデメリットについて触れていきます。

短期貸付金のデメリット

短期貸付金は1年未満で返済を終わらせる必要があるため、1か月ごとの返済額はどうしても大きくなります。一定の金額を毎月用意することになるため、時に負担が重くのしかかることも十分に考えられます。

 

その負担が影響して資金繰りに影響することもあり得るほか、資金繰りの悪化で経営に悪影響を及ぼすこともあり得ます。短期貸付金は貸付を受けるハードルが低い分、様々な金融機関などから貸付を受けやすくなり、毎月何回も資金繰りで四苦八苦する可能性が出てきます。貸付金を返済するのに四苦八苦しやすくなるのはデメリットと言えるでしょう。

長期貸付金のデメリット

長期貸付金のデメリットは貸付までの壁の高さです。負担なく返済し続けられる一方、ある程度のリスクを考慮しなければなりません。返すまでのリスクが高くなりやすいことは金利にも直結しやすく、そのあたりもデメリットになるでしょう。

 

また長期貸付金を用いるためには担保を活用して貸付にこぎつけるケースもあります。場合によっては担保を手放して弁済を行うことにつながるなど、気を付けるべきポイントです。

貸付金と利息の取扱い

貸付金に欠かせないのは利息です。ここでは貸付金と利息の取り扱いについてご紹介していきます。

貸付金の調達場所で金利・利息も異なる

貸付金を無利子で利用できるケースはかなり限られている一方、調達場所によっては低金利で利用でき、利息もある程度抑えることは可能です。

 

例えば、日本政策金融公庫で調達する場合には利率は2%や3%などで、特別利率が利用できれば1%あたりで済むことがあります。信用金庫だと若干貸付金の利率が高くなるなど、場所次第で大きく変わるため、精査が必要です。

無利息は寄付・贈与とみなされる

個人間・企業間で無利息での貸し借りを行うこともありますが、いずれの場合も寄付や贈与などの扱いになります。個人間の場合は利息が少なく、非課税として認められるため、無利息でも支障は少ないですが、企業間の場合には無利息は法人税の観点では益金となります。

 

借りた側は利息分を贈与で受け取ったような形になるため、この部分が課税されることになります。そして貸した側は利息を受け取ったとみなされるため、利息分を上乗せした形で課税を受けます。貸付金に利息は必須であるという考えがよくわかる話です。

貸付金における勘定科目と仕訳方法について

ここからは貸付金における勘定科目と仕訳方法についてご紹介していきます。

貸付金における勘定科目

短期貸付金・長期貸付金によって勘定科目に違いがあります。例えば、短期貸付金の場合は流動資産の扱いになり、短期貸付金という項目も用意されています。長期貸付金の場合は「投資その他の資産」の中に含まれ、流動資産以外の貸付金が長期貸付金となります。

 

勘定科目としては短期貸付金か長期貸付金かいずれかを選べばいいため、勘定科目の選択自体はさほど難しくはありません。

貸付金の仕訳方法

貸付金の仕訳方法ですが、例えば借用書などを書いて貸し付けを行う場合に、現金での貸付を行えば貸方に現金いくら、借方に貸付金いくらと書けば大丈夫です。一方、手形で貸付を行った場合は「手形貸付金」として借方に記載します。

 

貸付金の返済を受けた場合には受け取った現金の額面を借方に記載し、貸方には貸付金と受取利息を記入します。利息は利息で別に記載することで課税対象となる利益であることを示すことができます。

貸付金と立替金との違いについて

貸付金と似たような言葉に立替金があります。ここからは貸付金と立替金の違いについてご紹介していきます。

返済期日の有無

先に支払いを済ませておくので後で返してほしいという意味合いで「立て替えておく」という言葉を用いる人も多いのではないでしょうか。このように立替金も貸付金も後で返済してもらうという点では共通点があります。

 

両者の大きな違いは返済期日があるかどうかの違いです。今までご紹介してきた通り、貸付金には返済期日があり、1年未満か1年超かの違いがあります。その点、立替金はこの返済期日があやふやです。なかなか立替金の回収が難しそうであれば貸付金に変えることになります。

用途の有無

個人間で支払いの立替を行う場合には、明確な用途が存在していることがほとんどです。しかし、貸付金はお金を貸し付けた事実こそあっても、明確な用途は決められていません。そして、立替の場合、立替をするのに一時的に支払っただけなので、金利は発生しませんが、貸付金には金利が発生します。

 

このように同じような意味合いを持つ貸付金と立替金ですが、実際には微妙な違いがあることが分かります。

まとめ

貸付金は明快なルールの中で運用されており、正しいルールを知らないと思わぬ勘違いにつながってしまうことがあります。特に無利息で貸付を行う場合、利息を受け取っていないのに受け取ったとみなして計上しなければならないため、得がないと言えます。

 

貸付をする以上は一定の金利をつけて行う必要があります。ただ金利自体はそこまで高いものではありません。常識的な範囲内で運用されていき、ルールに従って仕訳を行っていくことになります。

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